Linkslover

I want to be a window through which Japanese golfers can see what’s happening outside. TPI G2/P2.

見つかった!最強の練習法

と,凡庸なゴルフ雑誌のようなタイトルをつけてみましたが,要するに「素振り最高」という話です。

今かよ。ええ,今さらです。

「素振り」をするに至ったわけ

以前書いたように*1,去年はよかれと思ってスクールに通い始めたものの結果がでないどころか逆にドツボにはまり,どうやってスキルの向上(というか復旧)をはかればいいのかまったく分からなくなってしまいました。

なまじ知識があるものだから,下手なスクールにいっても中途半端なコーチだと絶対に満足しないだろうし,でもやっぱり定期的にクラブを振る環境は欲しいし,かといって通いやすくてレッスン内容が信頼できる(あるいは黙って球を打たせてくれる)場所なんてないだろうし,ましてドライビングレンジに定期的に通うなんてのも非現実的だし。

と悩んでいるときに,ふとしたことからグリップを見直すに至り*2,この「グリップ先生」は職場に置いているから家では本物のクラブを握って正しいグリップの感覚を忘れないようにしようかな,ついでちょっと振ってみようかな……,というのが,家の中で素振りを始めてみたきっかけです。そしたら,想像以上に面白く有用で,いろんな気づきが得られることが分かってきました。 

IRIS SOKO(アイリスソーコー) グリップ先生LL SR-013

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もうひとつ言えるのは,それままでもこういった棒を振ってはいたのですが,これも問題がふたつあって,ひとつは重さの問題で,コースでクラブを振ったときに重く感じられること。もうひとつは,クラブと違って重心が軸上にあるので,以下に記したような「ヘッドの重心」の感覚を活かしたアームローテーションは身につかない,ということです。

elitegrips(エリートグリップ) 1SPEED  ホワイト 30.25inch 約435g

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なぜ今まで「素振り」をしていなかったか

今さら「素振り」の有用性に気づいたということは,今までやってなかったということです。その理由は大きくいってふたつありまして,

ボールを打たない=その結果がわからない中でスイングだけしても,無益どころか有害だと思っていた。

まぁこれはやりたくない理由を探していたようなものかもしれませんが,つまり,「仮に素振りをして『お,これが最高のスイングだ!』というものがつかめたとしても,それで実際に球を打ったらとんでもない結果(そもそもボールに当たらないとかダフるとかチーピンとか)になるかもしれない」,という疑念ですね。

これについては,まったく経験ゼロで素振りだけするならともかく,ある程度の経験があるなかでは「とんでもない結果」にはそうそうなりえないし,果たしてならなかった。そして,ある程度の知識があるおかげで,素振りだけをしても「何が正しいのか」が自らの感覚で判断できる,といえます。

そもそも目の前にボールがないとスイングができないようになっていた。

こっちの理由の方がきっと深刻で,たとえばレッスンを受けていて「まず最初は素振りで,次に球を打ってみて」と言われると,その最初の素振りですごい緊張するぐらい,これまで素振りが苦手だったんです。打つ対象がないと体が動かせない。それってつまり,視覚からの情報に運動が支配されすぎていのかもしれませんし,それが一時期イップス気味だったぎこちない始動につながっていたのかもしれません。

で,「素振り」をして気づいたこと

実際に,数週間の素振りを経てのラウンドでは,一部のホールでそれなりの結果が出たのですが*3,そういったコースで結果が出ることの嬉しさ以前に,素振りをすること自体のなかにいろんな「気づき」が得られることが,楽しさであり驚きであります。例えば,

いつでもできる

昔通っていたゴルフスクールは「月額固定料金でレッスン受け放題」だったのですが,それにしたって枠が空いているときにしかレッスンが受けられないし,わりと近所にあったものの行き帰りで時間がかかる。いろいろと生活環境が変わって平日も週末もなかなかゴルフに時間を費やせない中で,できるだけクラブを振るためにどうしたらいいかというと,「家で素振りをする」というのが唯一にして最適な解になります。スイングでちょっと試したいことがあっても,「次のレッスン」を待つことなく,すぐに家で試せますしね。

さらに,かつては週に数回のペースでスクールに通えていたし,あるいはロンドンに住んでいたころはしょっちゅうラウンドできていのたのですが,その両方がなくなると,たまにコースや練習場にいったときに,クラブが重く感じられてしょうがないんですね(modus105にリシャフトしたはずなのに)。これが,1回に数分であっても毎日クラブを振るようにしたら,体が慣れて,その「重さ」はどんどんなくなっていきました。

カラダとクラブの感覚・動きに意識が向けられるようになった

ボールという対象物や,打球という結果がないから当然なのですが,じゃあ自分の意識がどこに向かうかというと,クラブがいまどういう状態にあって,カラダがどういう状態にあるか,というところです。そうすることで,いろんなことが今さらながら分かってきたし,スイングの部分部分で矯正したい箇所に集中できるようになりました。

スイングを分割して考えることは危険を伴いますが,僕の場合は特に下記の「始動」,そして「切り返しでのウエイトシフト(の方向性)」を矯正したい。

特に切り返しでは,コース上で「右膝が伸びる,その結果パワーをロストするだけでなく,シャフトがインサイドから縦に降りて,帳尻を合わせるために上体が右に倒れてダフリあるいは薄い当たり」という悪癖があったので,素振りではここを矯正するように意識を集中してやることがあります。

あとは「リリース」でしょうか。これもボールがあるとどうしても合わせる動きになるのですが,素振りだと純粋に動きと感覚に集中できますし,その動きと感覚を脳にインプットしようとしています。

始動がスムーズになった

上記の通り,一時期は本当に始動イップスみたいな感じだったんですが,素振りでは運動が視覚に支配されないゆえに,そしてその結果を気にする必要がないがゆえに,スムーズにス始動できるようになりました。

始動の仕方については人それぞれにやりかたがあるでしょうが,僕の場合は「胸を右に向ける」「その結果として腕が引っ張られてシャフトが逆しなりしてヘッドがついてくる」ことを意識するのが,今のところしっくりきています。

捻転が深くなった

これもきっと,ボールという対象物があると体が開き気味になる,バックスイングも浅くなりがちになる,ということなのかもしれませんが,純粋に体だけ動かしているうちに,深いトップのかたちを作りたくなってきています。

「捻転」は最重要課題ではなかったのですが,自分の体の動きに意識がより向けられるにつれて,トップをどこまで深くできるか試してみたくなった。その結果として,捻転が深いときのカラダの感覚が分かってきた,体にテンションがかかっている状態が気持ちいい……,というのが現状です。

「音」に注目しだした

打球の行方という結果がない中で,それでも「今の素振りが良かったのか悪かったのか」は判断したい。自分のカラダの感覚に注目するのもひとつですが,「音」も大きな判断材料になります。早く振ればいい音が出ますし,スムーズに振ればまたいい音がでます。こうして「音」を手がかりにして,いろんな動きを試しています。

クラブヘッドの重心が感じられるようになった

「ヘッドの重心」という言い方が科学的に正しいのかどうかはさておき,つまりは以下の本で書かれていたことが感覚的にわかった,ということです。

そうだったのか、ゴルフスイング グラビティプレーン理論 クラブの動き編

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よく言われていることですが,ヘッドの重心ってシャフトからズレている。なので,グリップエンドを指先でつまんでクラブを垂らすとシャフトは地面に対して垂直にはならないし,その指先でクラブを回すと,その回転の軸はシャフトではない。

アームローテーション(あるいはフェースローテーション)をするときに,「シャフトが軸」というイメージを持つと,なんとも大変でスムーズにはいかないのですが,この「回転の軸」を意識すると,バックスイングでもダウンスイングでも非常にスムーズにクラブが動いてくれる(=腕が回ってくれる)。

これなんかも,分かってる人にとっては「何をいまさら」なことなんでしょうが,僕は素振りを通じて,初めてそこに意識を向けられるようになりました。

(複雑そうに書いてますが,これはユルユルでグリップを握って,特に中指・薬指・小指だけでクラブを支えることを考えると,自然にできるかもしれませんね)

道具に対して謙虚になった

というのは比喩的な言い方なのですが,今までは「自分の体」がまずあって,「その体を動かす理屈」があって,そこに意識が向いていたし,その結果としてのシャフトやクラブヘッドの動きは意識の外にあって,なんとなく脳が調整能力を発揮してくれて球を打てていた。

でも今は,シャフトやヘッドにまで意識を向けられるようになったおかげで,上記のように「ヘッドの重心」といったことに気づけたし,「クラブの物理的な特性を活かす」「クラブに仕事をさせる」といわれていることが,感覚的に分かってきた。「ヘッドが最高のかたちでボールと衝突してくれるために,自分は何をすべきか」という気持ちの持ちようになってきた……,ということです。

クラブを振ることが気持ちよくなった

といったようなすべての要素を含んで,「クラブを振ること」自体が物理的にも感覚的にも気持ちよくなった,気持ちいいからもっと振りたい,というのが,今の状態です。

ということで,「素振り最高」

インスタグラムをしていると,ついつい他のゴルファーの投稿が目に入ってくるのですが,たまに,特に女性で,熱心に練習している様子の動画をアップしている人いますよね。しかも,ハーフスイングしたり,片手で打つドリルしたり,ボールを腕や足に挟んだり,あるいはバランスディスクを片足で踏んだりとか。プレーンの線を引っ張ってスローで再生して分析っぽいことやったりとか。

そういうのを見て,こう思うようになりました。「そういうのいいから,まずグリップ治して,それから素振りしなよ」と。

いやー,ほんとに,本質的な改善をさせずに,それっぽいドリルをやらせる世の数多のコーチたちってどうかと思うんですよね。といいつつ,ゴルフレッスンに限らず,消費者サイドは知識がないとカモにされるのがオチなので(特に金融商品),そういう意味では生徒側の意識も問題ではあるんですが。

素振り専門のゴルフスクールなんてあったら面白いのにな,でも絶対人気でないだろうな,そもそも素振りだけなら店舗構える必要なくて,出張サービスでいいじゃん,「お宅までうかがって素振り拝見します!」みたいな……,なんてことを妄想する,今日このごろです。

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プロテストを前に素振りに励む沖田

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宇賀神が沖田に素振りをさせる意味がようやく分かりました。

追記|2018-01-27

ふと思い出した。素振りをするに至ったきっかけのひとつ。ゴルフを始めて1年で初めて80台を出したラウンドの前日,当時のコーチに「ティーショット前に必ず横振りしてくださいね」って言われんです。ドライバーを持って,野球のスイングみたいに,横振り。そうするとカラダがほぐれるのもさることながら,上体を回す感じとか,リリースのタイミングとか,普通にスイングするよりつかみやすいんですよね。という記憶が頭に残っていたので,グリップを確認するために家の中でクラブを握ったときに,「ついでに横振りもしておこうかな」と思ったのでした。

追記|2019-12-16

その後,素振りだけでは上達に限界があるということがよくわかったので,上記の内容は話半分以下にとどめておいてください。