Linkslover

I want to be a window through which Japanese golfers can see what’s happening outside. TPI G2/P2.

ドローとフェードとの飛距離の違いの理由を改めてテストしてみたら

QP氏の『誰も語らなかった飛ばせるクラブとスイングの本音』の中で,

(アウトサイドイン軌道は)さらに上を向いたロフトのついたフェース面とずれた下方向にヘッドが動いているので,エネルギー伝達の効率が悪くなります。だからスライスは飛距離をロスすると言われるのです。
というのがありました。「フェードよりドローの方が飛ぶ!(だから飛ばしたいならドローショットを打て)」というのは,ゴルフをやってる人なら誰しも知っているし言われたことがあると思いますが,「でもほんとにそうなの?」というのを,12人のテスターを使って検証したのが,このMyGolfSpyの記事。

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MyGolfSpy Labs: Draws vs. Fades

テストの条件
  • 12人のゴルファー(すべて右利き)で,各自特定のショットのパターンがある
  • それぞれ自分のドライバーでいっぱいショットを打ってもらい,その中から自らのパターン(ドローかフェード,スピンの回転軸で判断)にハマるショットを5つ選択
  • つまりこれは,30のフェードショット(6人☓5ショット)と30のドローショット(6人☓5ショット)との比較
  • すべてのゴルファーはそれなりの腕前。ハンディキャップ12からLPGAツアーゴルファーまで
  • クラブヘッドスピードは,86.2 MPH から 103.4 MPH のあいだ
  • テストは数日間にわたって,Titleist NXT Tour 練習ボールを使用し,データはのちに標準化された
結果

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所見

クラブヘッドスピードの差を調整し,フェードヒッターとドローヒッターの双方を100mphとすると,フェードはキャリーで222ヤード飛んで総飛距離は249ヤードになり,ドローはキャリーで224ヤード飛んで総飛距離で258ヤード飛んだことになる。キャリーがほぼ変わらないのに,スピン量の違いからランに違いが生まれて総飛距離が9ヤードも変わるのは興味深い。

気づいたのは,いくつかのフェードショットは,クラブフェースのヒール側で打ったがために発生していた。こう考えられるのは,フェーダーの平均のクラブ軌道がわずかにインサイドアウトであるからで,これは芯で打っていればドローになるはずの軌道だからだ。このヒール側でのヒットは,実際にスピン量を増やし,ランを減らしている。

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少し驚いた事実は,アタックアングルがどちらのグループもプラス(アッパーブロー)だったことだ。ドローヒッターがフェードヒッターよりアッパーブローの傾向が強いことには驚かない。

スピンロフトの数値も近かった。フェードで13.5度,ドローで12.3度。この理由の大きな部分は,ドローがトゥ側のヒットで生まれ,フェードがヒール側のヒットで生まれているという事実によるものだと思う。(要するに,本来ならもっとフェードの方がスピンロフトが大きいはずだけれど,ヒールでのあたりはだいたいフェースの下に当たるから,インパクトでロフトが立つ,逆にトゥ側でのあたりはだいたいフェースの上の方に当たるから,インパクトでロフトが寝てスピンロフトが増える,その結果,フェードとドローとでスピンロフトの差が縮まった……,ということだと思います)。スマッシュファクター(ミート率)は,1.45と1.43でドロー側の勝ち