たしかにDylanがいうように，ローズのチームメートたちが（ウェストウッドもポールターもカイマーもGマックも）LIVに移って，ローズが残って，それで金曜日の夕方にあのパットを決めたというのは，考えてみたらしみじみ来る。
He missed the last Ryder Cup. His peers all left for LIV. He’s this year’s oldest competitor. And he delivered a dagger on Friday night.
— Dylan Dethier (@dylan_dethier) September 29, 2023
I wrote about Friday’s final putt and about Justin Rose, Team Europe’s unlikeliest hero: https://t.co/Ik0k05n2rg pic.twitter.com/Zbb4OqvrwS
ソース
The Ryder Cup just found a hero — from its least likely source by Dylan Dethier, 29 September 2023
拙訳
ローマ — ジャスティン・ローズは，ライダーカップのこのヨーロピアンチームにハマっているわけではなかった。それほどは。 *1
ヨーロッパチームを見渡してみよう。 22歳のデンマーク人，強打のニコライ・ホイゴーがいる。23歳のスウェーデン人，才能豊かなルドビグ・オーベリがいる。いちばん乗っているプレーヤーは？ それは26歳のビクトル・ホブランだろう。このチームの未来が，現前している。そしてそこに，43歳のジャスティン・ローズがいる。 *2
ローズはすでに，ライダーカップでのキャリアに素晴らしい終止符を打っていた。彼はヨーロッパチームで素晴らしい成績を収め，2008年から2018年にかけて6大会中5大会に出場している。13勝8敗2分の好成績を残し，フォーボールとシングルスの両方で50%の勝率，さらにフォーサムでは7勝2敗1分という英雄的な活躍をしている。2018年にル・ゴルフ・ナショナルでプレーしたときも，彼は依然として世界最高のゴルファーのひとりであったし，トップでスタートしたローズは2ポイントを獲得して，チームの圧倒的な勝利に貢献した。 *3
ローズのゲームは，2020年に頭打ちになりはじめた。それは悪いことでもなかった。依然としてトップ10に名を連ね，時には優勝争いもした。彼は，ゴルフ界の少数精鋭たちのテーブルにつくのに必要なレベルのゴルフをやめたばかりだった。2021年のライダーカップに出場するプレーヤーを選ぶ時期が来たとき，ローズの40代の同期選手のうちふたり，セルジオ・ガルシアとイアン・ポルターがキャプテンピックの連絡を受けた。ローズはそうならなかった。彼は，ヨーロッパの仲間たちが Whistling Straits でひどい目に遭うのを眺めていた。外部から見ると，ローズがチームメイトたちと一緒に10年以上にわたってカップを支配したチームに別れを告げることさえできなかったのは，とりわけ残酷に思えた。しかし，ローズの反応はそうではなかった。 *4
「チームを外れたときは，自分の内側を見つめて，次へ進むチャンスだ。わかった，明らかに自分は十分に評価されていなかったか，十分なプレーができていなかった。そしてその気持ちは嫌いだから，それについて何かをする必要がある」と，彼は今週初めに語った。 *5
（そして，そう，それが彼の話し方の特徴だ。ローズは直線的で論理的に話す傾向がある。彼の記者会見は，モルガン・スタンレーのCMと重なることがある。「人生とビジネスとその他すべてにおいて，新しいリーダーだちに注意を払う必要がある移行段階がある」と，彼はチームヨーロッパの世代交代について語った。彼は，ロリー・マキロイやトミー・フリートウッドといったチームメイトのようなナチュラルな平静さを抱いたことはない。完全に警戒を解くことは稀だ。しかし，元世界ナンバーワンであるローズは，決して自分を見捨てることもなかった。） *6
LIVがプレーヤーを募っていたとき，ローズは当然そのターゲットだった。ヨーロッパのライダーカップの40代の猛者に関しては，物議を醸しているスタートアップリーグであるLIVは，そういった者たちをすべて集めているように見えた。その中にはポルターとガルシアがいた。そこにはリー・ウェストウッド，ヘンリック・ステンソン，グレアム・マクダウェルも含まれていた。ローズも含まれていたかもしれない。彼がなぜ違う決断を下したのかを説明したのは，2023年のAT&Tペブルビーチ・プロアマで勝利して復帰を宣言したときだった。 *7
彼はLIVの口説き文句を聞いていた。その一部が「表面上は良さそうに聞こえた」と，彼は認めた。しかし，プロフェッショナルゴルフをプレーする理由は，その最大の大会で戦うことだという気持ちを払拭することが彼はできなかったし，そしてまだ自分は戦えると感じていた。 *8
「メジャー大会への出場という点が，私の決断の大きな部分を占めた」と，彼は当時語っている。9月下旬にとあるチームに加わるという点については？ *9
「ライダーカップが自分にとってどのようなものか，そこに参加したいという以外には興味すら持っていない」と，彼は付け加えた。 *10
そしてここに彼がいる。いつもは硬い殻に包まれているローズでさえ，その瞬間に起こった感情を認めた。 *11
「30000フィートの高さから見下ろすと，そうだね，戻ってきたという事実にもう少し感謝しているよ」と，彼は言った。「これまでの大変な努力のおかげかな」 *12
これらすべてのことが，金曜日の午後，ローマ郊外約25マイルにあるのマルコシモーネゴルフクラブにつながっている。 *13
ローズは午前のフォーサムに出場できなかったことに対して，がっかりしたに違いない。このフォーマットでの輝かしい成績を考えると。そして，午後のフォーボールのペアリングが発表されたとき，彼はヨーロッパチームで最もランキングが低いロバート・マッキンタイアと一緒の組になった。彼らは午後のセッションで，いちばん勝ち目がない組としてスタートしたのだ。 *14
「泣きそうになりながらドライビングレンジから立ち去ったのは，初めてだった」と，マッキンタイアはラウンド後に認めた。「何が起こるか分かっていたんだ」。 *15
それは自信を呼び起こしたものではなかったかもしれないが，印象的なことに，マッキンタイアは1番ホールでバーディーを奪い，ホールを分ける熱いスタートを切った。ローズが2番でバーディーを奪ったあと，マッキンタイアも3番でパーをとり，ふたりは1アップのリードを維持した。しかし，それだけだった。残り15ホールで，マッキンタイアのスコアがローズのより良かったのは，いずれにしても彼らが負けたホールだけだった。確かにカップの最年長選手であるローズ，1人対2人では勝負にならなかった。 *16
リードが消え始めたとき，それは避けられないと感じられた。ウィンダム・クラークが5番，7番，9番でバーディーを奪ってホールを奪い，アメリカ側に2アップのリードを与えた。ローズは奮闘して2番，6番，そして10番から12番とバーディーを奪って奮闘したが，13番でクラークがまたバーディーを決めてリードを2UPに戻した。そして17番に移る。 *17
これに先立ち，アメリカチームは2試合連続勝利の瀬戸際にあったが，ビクトル・ホブランとジョン・ラームの奇跡のパットで，18番グリーンで望みを絶たれた。この時点でアメリカ側は，まだ1勝もしていなかった。 *18
「私はキャディーに言ったんだ。『なあ，ボード上で唯一の赤にはなりたくないね』」と，ローズは語った。 *19
なにか助けが必要だった彼だったが，17番パー3でクラークとホーマのチームのボギーというかたちで，それを得た。それから彼は，18番でティーショットをフェアウェイ真ん中に放ったが，ボールの転がっていき，フェアウェイバンカーのフロントエッジに消えていくのを，彼はただ見守るだけだった。 *20
次に起こったことは，ステージをクリアするのに役立った。クラークはアプローチショットを大きく右に外し，すぐにホールから脱落した。ホーマは力強いアプローチを打ったが，バーディーパットはホールのすぐ外に逸れた。マッキンタイアはパーだった。しかし，その日の最終試合でローズを待ち構えているのは，9フィートのバーディーパット。チームメイト，対戦相手，ファン，メディア関係者，トーナメント関係者全員が，グリーンを取り囲んでいる。外したら？ USチームは午後のセッションを2-2として，4ポイントという妥当な差で土曜日に臨むはずだった。決めたら？ チームヨーロッパが午後のセッションを奪い，リードを5点差に広げることになる。 *21
わずかに右から左に曲がるパット。ボールは，彼のパターを離れた瞬間から，完璧な軌道に乗った。カップの真ん中にボールが沈んだころ，ローズはすでにチームメイトに向かい，ガッツポーズをしていた。 *22
それから彼は，彼ら一人ひとりを順番に指さしはじた。 *23
「お前とお前とお前とお前だ，って感じだった。それが私が言いたかったことなんだ」と，ローズは説明した。「奴らみんなに。だって，みんなが一緒にいるから。僕があのパットを決めたのは，僕の後ろにいる10人が望んでいたから。そう，それは彼らのためでもあるんだ」 *24
それがは，トップアスリートと優しい父親のお祝いのように聞こえるかもしれないが，確かに，ローズの子供たちは二人とももうすぐティーンエイジャーになる。しかし，それはヨーロッパチームにとっても爽快なパットであったと同時に，対戦相手にとっても衝撃的なパットだった。 *25
「それまでライダーカップではそれほどの記憶がなかった」と，ローズはそのパットを決めた数分後に語った。「ポイントを獲得したことはあるが，それほど多くの記憶はなかった。午後のフォアボールではなく，チーム全体が周りにいた。それはとても大きかった」 *26
今週初め，ローズは自分がまだ若者たちの一員であると感じていると語った。チームに欠かせない存在だと感じていた。自分の年齢が何かを意味しているとは感じていなかった。それでも… *27
「自分があと10年若かったらね」と，彼は認めた。「みんなそう思うように」 *28
しかし彼は，若いチームメイトたちの態度を賞賛しながら語った。 *29
「若者たちは自信満々に見える。そういう若さゆえの勢いみたいなものはチームにとってもプラスになるものだから，それを抑えようとは思わないんだ」と，彼は言った。「彼らは何もかも初めての経験をしているし，それは素晴らしいことだと思う。彼らはまだ何にもレッテルを貼ってない」 *30
金曜日の夕方，ローズも初めての経験をした。私たちは喜んで彼のためにレッテルを貼りたい。それは，このライダーカップが変わった瞬間だった。そしてそのパットは，それを打った男にとって意味するものを知る他の人たちにとって，さらに意味のあるものだった。 *31
*1:ROME — Justin Rose doesn’t belong on this European Ryder Cup team. Not really.
*2:Take a look around Europe’s team room. There’s 22-year-old Danish basher Nicolai Hojgaard. There’s 23-year-old Swedish savant Ludvig Aberg. Its hottest player? That would be 26-year-old Viktor Hovland. This team’s future is also its present. And there’s 43-year-old Justin Rose.
*3:Rose had already put a nice bow on his Ryder Cup career. He’d put together a terrific run for Team Europe, playing five of six Cups from 2008 through 2018. He’d compiled a neat 13-8-2 record, winning at a 50 percent clip in both four-ball and singles and battling to a heroic 7-2-1 in foursomes. And he was still among the best golfers in the world when he played at Le Golf National in 2018, where he went out on top by earning two points in a dominant team win.
*4:ROSE’S GAME STARTED GOING SIDEWAYS in 2020. It wasn’t all bad. He still put together top 10s and occasionally contended. He’d just ceased to play golf at the level required to dine at the tables of golf’s elite few. When the time came to select a team for the 2021 Ryder Cup, two of Rose’s 40-something contemporaries — Sergio Garcia and Ian Poulter — got the call as captain’s picks. Rose didn’t. He watched as his European peers received a drubbing at Whistling Straits. From the outside it seemed particularly cruel that Rose wasn’t even able to join his teammates in bidding their farewell to a decade-plus of team dominance. But that wasn’t Rose’s reaction.
*5:“When you do miss a team, it’s an opportunity to look inward and go, okay, well clearly I wasn’t valued enough or I wasn’t playing well enough, and I don’t like that feeling, so I need to do something about that,” he said earlier this week.
*6: (And yeah, that’s how he talks; Rose tends to speak in a linear, logical fashion. His press conferences can overlap with his Morgan Stanley commercials. “In life and in business and everything, there’s obviously transition phases where you need to look to new leaders,” he said with regard to Team Europe’s turnover. He’s never had the effortless cool of teammates like Rory McIlroy or Tommy Fleetwood. It’s rare that he completely lets down his guard. But the former World No. 1 has never given up his self-belief, either.)
*7:When LIV came calling, Rose was a logical target. When it came to European Ryder Cup stalwarts in their 40s, the controversial startup league seemed to be collecting ’em all. That included Poulter and Garcia. It included Lee Westwood, Henrik Stenson and Graeme McDowell, too. And it could have included Rose. It wasn’t until he’d declared his comeback with a win at the 2023 AT&T Pebble Beach Pro-Am that he explained why he’d made a different decision.
*8:He’d heard the pitch. He admitted parts of it “sounded good on paper.” But he couldn’t shake the feeling that the reason he was playing professional golf was to contend in its biggest events — and he felt like he could still do so.
*9:“Access to the major championships was a large part of my decision,” he said at the time. As for making a certain team in late September?
*10:“I haven’t even entertained what the Ryder Cup looks like for me, other than I want to be there,” he added.
*11:And here he is. Even Rose, who’s always been a tough nut to crack, acknowledged the emotions that came with the moment.
*12:“From a 30,000-foot view, yeah, there’s a little bit more gratitude to the fact of being back,” he said. “A nod to the hard work that’s been done.”
*13:ALL OF THE ABOVE brings us to Friday afternoon at Marco Simone Golf Club, some 15 miles outside Rome.
*14:Rose must have been disappointed to sit for morning foursomes, given his sparkling record in the format. And when afternoon fourball teams were announced he was with Robert MacIntyre, by far the European team’s lowest-ranked player. They went off as the session’s biggest underdogs.
*15:“I’ve never walked off a driving range before almost in tears,” MacIntyre admitted after the round. “I knew what was coming.”
*16:That may not have inspired confidence, but impressively the lefty got off to a hot start with birdie at No. 1 to halve the hole. After Rose birdied No. 2, his teammate made par at No. 3, too, maintaining the duo’s 1 up lead. But that was it; for the final 15 holes the only holes where MacIntyre’s score beat Rose’s were those they lost, anyway. Surely the Cup’s oldest player couldn’t compete playing 1 vs. 2.
*17:It felt inevitable when the lead began to disappear. Wyndham Clark won holes with birdies at 5, 7, and 9, giving the U.S. side a 2 up lead. Rose fought hard — he birdied 2, 6 and then 10-11-12 — but another Clark birdie at No. 13 pushed the lead back to 2 up. That’s where things stood going to No. 17.
*18:Up ahead, the U.S. team was on the brink of victory in two consecutive matches before miraculous putts from Viktor Hovland and Jon Rahm sank their hopes on the 18th green. The U.S. side still hadn’t won a match.
*19:“I said to my caddie, ‘Come on, I don’t want to be the only piece of red on that board,'” Rose said.
*20:He needed some help and got it in the form of a team bogey for Clark and Homa at the par-3 17th. Then he split the fairway at No. 18 — only to watch his ball trickle and trickle until it just disappeared into the front edge of a fairway bunker.
*21:What happened next served to clear the stage. Clark blew his approach way right and was soon out of the hole. Homa hit a strong approach but his birdie putt wandered just past the hole. MacIntyre was in for par. But now Rose faced a nine-footer in the final match of the day — with every teammate, opponent, fan, media member and tournament employee now ringing the green. Miss? The U.S. would have salvaged a tied 2-2 session and sit a reasonable four points back heading to Saturday. Make? Team Europe would have stolen the session and built the lead to five.
*22:The putt broke ever so slightly right to left — and it was perfect from the moment it left his blade. By the time it settled at the middle of the bottom Rose had already unleashed a whirling fist pump in the direction of his teammates.
*23:Then he started pointing at each of them in turn.
*24:“I think it was you and you and you and you; that’s what I was saying,” Rose explained. “For all the boys. You know, just because everyone is in it together. I made the putt because I had 10 people willing it in behind me. Yeah, it’s for them, as well.”
*25:If that sounds like the celebration of a top athlete crossed with an endearing dad, well, that checks out: both of Rose’s kids will soon be teenagers. But it was a putt that was as exhilarating for the European side as it was devastating for their opponents.
*26:“I haven’t had many moments in Ryder Cups,” Rose said a few minutes after the putt dropped. “I’ve had points, but I haven’t had that many moments. Not in the afternoon in four-balls and had the whole team around. That was immense.”
*27:Earlier in the week Rose said that he still felt like one of the boys. He felt like an integral part of the team. He didn’t feel like his age defined him. Although…
*28:“I wish I was 10 years younger,” he admitted. “As we all do.”
*29:But he spoke with admiration of the attitudes of his younger teammates.
*30:“The youngsters do seem very self-assured, and that’s part of what they bring to the team, and you don’t want to talk them out of that,” he said. “They are experiencing everything for the first time, which I think is wonderful. They haven’t labeled everything yet.”
*31:On Friday evening Rose experienced something for the first time, too. We’re happy to label it for him: it was the moment this Ryder Cup changed. And the putt meant more to everyone else knowing just what it meant to the man who struck it.
