Linkslover

ぜんぜんわからない 俺たちは雰囲気でゴルフをやっている

300ヤードの飛ばし方|「100日後に300ヤード飛ばす素人ゴルファー」たなかさんの場合

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はじめに

「100日後に300ヤード飛ばす素人ゴルファー」の件,覚えておいででしょうか。このブログで約300日前に紹介しましたが,フィジカルを向上させて飛距離アップを狙うという,ユニークで意欲的で見ごたえのある取り組みでした。

golf103.hatenablog.com

「100日後」ではなかったものの*1,その後見事に300ヤードドライブを達成された(!)「素人ゴルファー」こと「たなかさん」に,TwitterのDMでお話をうかがいまして,以下にインタビュー記事としてまとめました。たなかさんのポジティブな姿勢や理知的なアプローチ方法には,僕自身とてもインスパイアされましたし,またこれが多くの人の参考になると信じています!

インタビュー

Linkslover(以下,L):僕の記憶が確かならば,100日では300ヤード達成できず,でもそのあとで継続してトレーニングして,それでついに300ヤード達成されましたよね。まずはそのあたりの経緯を振り返ってください。

たなかさん(以下,T):そうですね。ウェイトトレーニングをはじめて270一発→280一発,280一発→290一発まではそれぞれ3ヶ月くらいで伸びていたので,そのままのペースでいけば100日くらいで達成可能だと判断して100日をスタートしたのですが,300ヤードはやっぱり厳しくて100日では5ヤードくらいしか伸びずで(3/15),結局そこからさらに3ヶ月ほどかかって6/6に300一発が飛んだという流れですね。

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300ヤード達成の瞬間

L:ウェイトトレーニングは前からしてたんですか? それとも飛距離を伸ばす目的で始められた?

T:トレーニングは飛距離を伸ばす目的ではじめました。マキロイが筋骨隆々だったのがきっかけですね。最初は自宅で自重トレーニングからスタートしました 正確な時期は覚えてないですが,2年半から3年ほど前になります。

L:トレーニングメニューって何を参考にされてるんですか? マキロイがどんなトレーニングをしているかは意識されてると思うんですが。

T:トレーニングメニューでいちばん参考にしてるのはパワーリフター(スクワット・ベンチプレス・デッドリフトの合計値を競うスポーツの競技者)のメニューです。マキロイ含め多くのゴルファーはこの3種目をよく行なってますし,パワーリフターのトレーニングメニューは,背中を含め身体全体に弱点を作らないように作られていて,かつ筋力アップに重点を置かれているので飛距離を伸ばしたいゴルファーにフィットすると考えています。怪我を予防するためのメニューも組み込まれているのも,ゴルファーとして嬉しいポイントです。

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デッドリフトをするたなかさん

L:じゃあフィジカルを鍛えたいゴルファーは,まずその3種目に取り組むことを勧められますか?

T:そうですね。スクワット,ベンチプレスの強さがヘッドスピードに大きく貢献することを示唆する論文も出てますので*2,特にスクワット,ベンチプレスをおすすめします。次点でデッドリフト,懸垂ですね。

L:たなかさんは大学で運動生理学を学ばれていたようですが,そのことが今回の300ヤードへの取り組みに活かされたと思われますか?

T:直接的に運動生理学の知識が役に立ったわけではないですね。ですが,飛距離を伸ばしたいと思ったときに,非科学な個人の経験ベースの方法(飛距離アップなら背中を鍛えろ,胸・二頭は邪魔になる,筋トレより柔軟が大事…など)ではなく,論文ベースの科学的なアプローチを自然ととれたのは,大学で運動生理学を学んでいたおかげだなと思います。

L:たなかさんの場合,飛距離が伸びたのは純粋にフィジカルの向上によるものですか? その間,技術的に何か変えられました?

T:僕はゴルフの練習頻度がかなり少ないです(ラウンドの予定がないと月1回程度)し,スイングに大きな変更を加えたりしていないので,純粋にフィジカルの向上と考えていいと思っています。

L:一般的に,飛距離を伸ばそうとすると,フィジカルか用具かスイング技術かという3つのアプローチがありますが,そうするとフィジカルからっていうのは,たなかさんにとっては自然なアプローチだったわけですね。

T:そうですね。僕は用具に関してはロフト通りに飛ぶと思ってますし,スイング技術は高い方がいいですが,「スイングのいい人=飛ぶ人」なら女子プロも300ヤード飛ばないと説明がつかないと思ったので,フィジカルを最優先に考えました。

L:面白いですね,その考え方! では一般的に飛距離についての考え方をうかがいたいですが,例えばブライソン・デシャンボーが飛距離を伸ばしたのに対してマシュー・フィッツパトリックがあんなの技術じゃないって言ったりとか*3,ジャスティン・トーマスがいやいやあれが技術じゃなくて何が技術なんだとかありましたが*4,あれについてどう思われましたか?

T:その一件,面白かったですね。僕は100%トーマスに賛成です。僕は長くテニスをやっていたのですが,サーブのスピードやストロークの速さはそれ自体が勝負を決定するものではないですが,勝負を有利にする大きな要素のひとつになります。ゴルフも同じで,飛距離はスコアを決定するものではないですが,150ヤードをPWで打つか(ツアープロ),6番アイアンで打つか(一般アマチュア)では,正確性に差が出ることは明らかです。僕はゴルフ競技の飛距離を,野球ならピッチャーの球速,サッカーならシュートの速さや,スプリントの速さ,バレーボールなら跳躍力のようなものだと思っています。 なくてもいいですが,あればもっといいです。

L:こないだの日刊ゲンダイにあった*5「ゴルフは飛距離じゃなく正確性のゲームだ」みたいな説については,どう思われますか?

T:ゴルフは飛距離じゃなくて正確性,これは100%そう思います。ですが,正確性を出すのに飛距離は必要ないと言われれば,100%否定します。

L:「100日後で」でYouTube*6とInstagram*7されてましたけど,モチベーションになったこと,あるいはその逆にやる気を削がれるようなことってありました? いろんなコメント来たと思うんですが。

T:基本的には好感の持てるコメントが多かったですし,Linksloverさん含め多くの方に応援していただいていい100日間でした。もともとYouTubeも,飛距離を伸ばしたい人にだけ響けばいいと思ってやっているので,日本ゴルフ界に蔓延る筋トレ否定派,飛距離否定派の声はあまり気にしないですね。

L:シャフトのフレックスに関するコメントがいくつかあったって聞きましたが,最終的にはシャフト変えられたんですよね?

T:変えましたね。ドライバーのシャフトは元々海外純正の60Sを使ってたんですが,スイング中にシャフトがグニャグニャに感じて振れなくなってきたので,Kuro Kage Siverの6Xに変えました。それに伴って,ヘッドもNikeのVapor Fly ProからM2 2017に変わった感じですね。今はいいシャフトが見つかればまたVapor Fly Proに戻りたいなと思ってます。

L:最後に,読者の方々にメッセージなどあればぜひお願いします。

T:飛距離の点においては日本のゴルファーは海外に相当遅れをとっています。海外のスポーツ選手は,当たり前のようにジムに通ってフィジカルを高めています。これから世界を狙うジュニアゴルファー,そのサポートをする家族やコーチの方々に,「ゴルフの練習後にはコツコツ筋トレをしてください」と伝えたいですね。エンジョイゴルファーの皆様には,「飛距離があればゴルフはもっと楽しいので,一緒に飛距離伸ばしましょう」と伝えたいですね。

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測定はコースボールのロストボールで行ない,ユピテルの飛距離係数は初期値の100%で設定

さいごに

たなかさん,インタビューに快く応じていただき,そして丁寧にご回答くださり,本当にありがとうございました! お話をうかがって,その取り組みが理知的なものだったことがよく分かりましたし,ご紹介いただいた内容を参考に,僕自身もフィジカルに向き合ってみようと強く思いました。

たなかさんからは,上の写真に加えて以下の3つの図もご提供いただきました。これを見ると,フィジカルの中でも特に何がクラブヘッドスピードと強い相関を持つのかが分かりますし,逆にたなかさんも言われているように,柔軟性が意外にも相関性が弱いのが分かったりして,非常に興味深いです。

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(いつまでも眺めていられますね,このチャート……)