Linkslover

I want to be a window through which Japanese golfers can see what’s happening outside. TPI G2/P2.

イギリスゴルフ #35|スコットランド遠征|North Berwick Golf Club - West Links|レダン!ビアリッツ!石垣!ノースベリック

St Andrewsでラウンドすることが昨年秋に決まり,そのついでにエディンバラ近郊でもう1ラウンドしたいと思っていたとき,トム・ドォークの『Confidential Guide』の Gourmet's Choice を目にして,North Berwick Golf Club に行くことを決めました。

特に(マサ・ニシジマ氏の)「もし,ミュアフィールドとノースベリックとの選択肢が与えられたら,たぶんゴルファーの90%はミュアフィールドと答えるだろうが,私はノースベリックと答える残りの10%のゴルファーに敬意を表する」という記述が決め手になりました。実際,ミュアフィールドとノースベリックは近い場所にあることもあって,迷います。

「North Berwick」は「ノースバーウィック」だと思っていたし,Googleマップでもそう表示されますが,実際は「ノースベリック」みたいですね。ロバート・ルイス・スティーブンソンの『宝島』のモデルとなったと言われている島はいくつかあるみたいですが,そのひとつが,この North Berwick から見える Fidra という島もそのひとつらしいです(ソース)。

さて,「ノースベリック」でググると興味深いサイトが簡単に見つかりますが,たとえば街についてはこれとか

この歴史ある海辺の町は、19世紀に英国中の観光客がここの砂浜に惹かれて集まるようになって以来、人気のスポットとなっています。古城、すばらしいバーとレストラン、港の先端にあるゴルフ・コース、有名なバス・ロック(Bass Rock)を臨むすばらしい眺めなど、ここにはすべてが揃っています。

ゴルフコースについては,こんな逸話とか

ノース・ベリックでは1875年、トム・モリス親子対地元のプロ、バーク兄弟の50ポンドを賭けた36ホールのフォアサム試合が行われた。午前中18ホールでバーク組が1アップした。午後の18ホールは4回に及ぶデッドヒートのすえモリス親子が勝った。ちょうど17ホールにきたとき、セント・アンドリューズの留守宅から、妊娠中だったヤング・トムの妻が難産のため重体になったとの一通の電報が競技委員長のブロディ市長のところに届いていた。しかし市長は最後まで戦わせるため、電報をポケットに入れた。試合後に手渡したが、50ポンドの大金を手にしたモリス親子は電報を見るなり顔色を変えた。「間に合わんの」と気をもんだ。すると会員のジョン・リュイスがヨットで20マイル先のセント・アンドリューズに送ってくれた。が、すでに、妻は亡くなっていた。

Hondaのサイトにある15番パー3に関する説明とか

スコットランドのエジンバラ東部にあるノースベリック・西コースの15番ホールは「世界で最もコピーされているホール」と言われています。オリジナルのデザインでは185ヤードのパー3、現在は190ヤードのパー3としてプレーされているこのホールは「レダン」という別名を持ち、どういうレイアウトかというと、ティグラウンドに対して楕円形のグリーンが45度左に傾いており、グリーンの手前から奥に、さらには右から左に傾斜しています。グリーンの左手前はバンカーでガードされており、そのほかにも数多くのバンカーがグリーンを取り囲むように配置されています。

あとはこんなエピソードとか

ここには他にも見所満載です。まずは、石垣。所々フェアウエーを横切る石垣を超えつつショット。13番に至っては、グリーンとフェアウエーが石垣で隔てられています。その石垣にかけられた看板には、”Don't argue with the wall – it's older than you.”「石垣と議論するな。石垣の方が年上なのだから」の、お言葉が。

どこのリンクスコースでもそうですが、ゴルフコース内には海に出られる様に公道が通っており、散歩したりしている一般人が横切ります。通り過ぎるのを待ってからショットしないといけないのですが、おばちゃんたちは知り合いとすれ違ったりたりすると、途中で止まって喋りだします。

こんな感じで,ノースベリックという街,あるいはこの North Berwick Golf Club は,他の人に伝えたくなる「何か」がいっぱりあります。

スコアカードに記されているように,クラブの設立は1982年。キャディの話では「諸説あるけど,世界で11番目か12番目に古いクラブ」ということです。そんな古い歴史がありながら,ビジターをあたたかく受けいれてくれます。クラブの人に「初めて来ました」というと,施設について丁寧に説明してくれました。「今日は2番手ぐらいの風だね」「ここのメンバーは全部あわせて600人ぐらいいる。ウェイティングは2・3年ぐらいかな」という話も。

コース専属のキャディがいるわけではないですが,事前にオーダーすれば手配はしてくれます。僕たちについてくれたのは,ここのメンバーでハンデ6(かつては2)という腕前のTom。キャディを雇うたびに好きなプレーヤーに訊くのが好きなのですが,Tomの場合はジミー・ウォーカーとリッキー・ファウラーでした。もうひとちは,もともと学校教師をやっていて5年前までキャディの仕事をするようになったDavid。コース戦略のみならず,近隣の邸宅にはだれそれが住んでいるとか,あの島は『宝島』のモデルだとか,むかし全英オープンの予選がここで開かれたときに若きフィル・ミケルソンがプレーしてどうだったとか,そんなことをいろいろと教えてくれます。ちなみにキャディーフィーは40ポンドにチップをプラス(たぶん最低15ポンドから,が目安)。

キャディや天気に恵まれたせいもありますが,このコースでのラウンドはとても楽しかった。いくつか理由がありますが,たぶんいちばん大きな理由は,ほぼすべてのホールから海が見えること。リンクスコースとはいえこれはけっこう珍しいのではないかと思います。次に,コース内を縦横に走る石垣の存在。13番パー4,通称“Pit”でフェアウェイとグリーンを分ける石垣については多くの人が書かれていますが,3番と16番のコースを堂々と横切る石垣の存在感には,苦笑するしかありません。「3番ウッドで打ったたまがこのwallに跳ね返って,自分よりはるか後ろに飛んでいった人もいるよ」なんてこともあるそうです。石垣に鉄製の看板がかかっているのですが,ボールが当たって凹んだ跡がいくつもありました。最後はやはり,世界中のレダングリーンのオリジナル(15番“Redan”)や,見るも恐ろしいビアリッツグリーン(16番“Gate”)の存在でしょうか。

印象的なホールをいくつか。

1番パー4。距離は短いけれど,フェアウェイが途切れてアプローチショットはマウンド上のグリーンに打ち上げ。右が海。

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スタート小屋と1番のティー。

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1番の2打目付近。

2番パー4。軽い右ドッグレッグで,ティーショットは軽い打ちおろしの海越え。ここのティーインググラウンドとグリーンから後ろを振り返ったときの景色が爽快。

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2番のグリーンからティー方向を見る。

3番パー4。ティーショットのクリーク越えは問題ないとして,2打目が石垣越え。

4番,最初のパー3。スコアカード上はレギュラーティーで170ヤードぐらいだけど,向かい風だと190-200ヤードのショットが必要になる。グリーンは縦長で受け傾斜がきつく,左右に深いバンカーがいくつか。結局,どんな風が吹いても難しい。

6番パー3。距離は長くないけれど,グリーン手前が深く窪んでいてバンカー,そしてグリーンを取り囲むようにバンカーが配置されている。キャディのアドバイスは「ピンを無視してとにかくグリーンセンターを狙うこと」。

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6番パー3。

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6番パー3のバンカー。

7番パー4。オールドコース1番みたいに,グリーン手前にクリークが走ります。ティーショットがミスなら,レイアップするしかない。

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7番のグリーン。

9番パー5。軽い左ドッグレッグで,ティーショットの落ちどころ,フェアウェイの真ん中にバンカーが待っている。左はOBが近い。典型的なリスク&リワードのホール。グリーンもマウンドの上にあり,左横と右下にはバンカーが待っていて,雑な攻めを餌食にする。

10番パー3。ティーインググラウンドからの眺めは最高。距離と方向の狂ったショットを,グリーン回り5つのバンカーが待ち構える。

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10番パー3のティーから。

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10番のガードバンカー。

13番パー4,通称 Pit。石垣がグリーンを遮る上に,グリーンの幅が狭いこと……。しかしどうしたわけか,これを「アンフェア」だとは感じない。

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13番の石垣。

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13番のグリーン。

14番パー4,通称 Perfection,つまりはパーフェクトなショットがふたつ要求されるということ。特にアプローチショットはブラインド,グリーンに向かって下り傾斜になっているので,その転がりを計算しなければいけない。キャディーいなかったら絶対無理だ。

15番パー3,通称 Redan。しかしレダングリーンはティーインググラウンドからは見えず,目に入るのは小さなマウンドとその下のふたつのバンカー。これもキャディーを信じてグリーン右手前からの転がしを祈るしかない。

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15番Redanのティーから。

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15番のグリーン。

16番パー4,通称 Gate。ティーショットの壁越えはいいとして,フェアウェイ真ん中のクリークを越すか刻むかの選択が1打目から求められる。そしてアプローチショットはビアリッツグリーンに! グリーンをふたつにわかつ「谷」の深さは半端ない……。

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16番のグリーン

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16番のグリーンの溝の深さがわかるでしょうか。

17番パー4。グリーン手前,斜めにながーいバンカーがあります。

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17番グリーン手前のバンカー。

18番パー4。ドライバブルな距離,ハザードはなく,グリーン奥にクラブハウス,フェアウェイ右には道路とクルマ。「アイデアはオールドコースの18番と同じだよね」とキャディ。変化に飛んだコースのわりにシンプルなホールのようですが,これがマッチプレーだとすれば,バーディーはマスト,勝つためにはイーグルが必要,というスリルを与えることになる。

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18番のフェアウェイからグリーン方向を見る。

22 March 2015