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ぜんぜんわからない 俺たちは雰囲気でゴルフをやっている

世界ゴルフランキングは公平なシステムか?

"Every Shot Counts"でおなじみの Mark Broadie の論文。世界ゴルフランキングは果たして指標として公平なのかどうか,という内容です。

Mark Broadie, Richard J. Rendleman, Jr "Are the O cial World Golf Rankings Biased?"
http://www.columbia.edu/~mnb2/broadie/Assets/owgr_20120507_broadie_rendleman.pdf

ちょっと長いけど,まずが概要から訳してみる。

概要
ゴルフとは,プロフェッショナルゴルファーが世界各地で開催されるツアーでプレーをする,グローバルなスポーツである。規模が大きくて重要な男子プロツアーとして,アメリカのPGAのツアー,ヨーロピアンツアー,日本ツアー,そしてアジアンツアーがある。The Offi cial World Golf Ranking(公式世界ゴルフランキング。以下,OWGR)は,男子プロゴルファーを単一の指標でランキングするシステムである。

もし,同じゴルファーが異なるツアーでプレーしても同じ(あるいは非常に似通った)ランキングを得られるときに,そのランキングシステムは不偏(バイアスがかかっていない)であると呼ぶことにする。

この論文では,OWGRが不偏かどうか,もしそうだとしたらどのツアーにどの程度バイアスがかかっているかを検証する。バイアスの有無を検証するために,ゴルファーのスキルとパフォーマンスを推定するためのふたつの不偏な方法とOWGRとを比較する。

最初の方法は score-based skill estimation(SBSE,スコアベースのスキル検証)法で,これは各トーナメントのコースの相対的な難しさを考慮しながら,スコアリングデータをゴルファーのスキルを推定するために使用するもの。

ふたつめの方法がサガリン法で,これは,ゴルファーをランク付けするために,同一のトーナメントでプレーしたゴルファーの勝敗とスコア差を用いるもの。

スコアベーススキル法もサガリン法も,どちらもプレーヤーのランクを計算するためにツアーの情報は用いない。そしてそれゆえ,どちらの計算方法もどれかのツアーに偏っていないことになる。

2002年から2010年までのデータを用い,OWGRとスコアベース法とを比べた結果,PGAツアーのゴルファー他のツアーでプレーするゴルファーに比べて平均26から37ほどランキングポジションで損をしていることが分かった。OWGRとサガリン法とを比較しても,同様の結果が得られた。

どちらのケースでも,バイアスは大きく,統計的に有意である。また,バイアスは継続的なものであり,またそのバイアスはスコアベース法で40から120のあいだにいるゴルファーにおいて最も大きくなることも分かった。 以下,気になった点やポイントと思われる点を箇条書きにします。

  • OWGRの目的に関するオフィシャルなステートメントはないが,John Paul Newport(2012)の論文が以下のようにサマライズしている。「OWGRの主目的は,世界No.1やあるいはNo.10を特定することではない。それよりも,メジャー大会やその他の大きな大会の出場選手を,公平かつ透明性の高い方法で決めることにある」
  • ツアー間のバイアスの存在に関して,よく言われていることがある。その例として,以下のようなものがある。
    • 「石川遼とシャール・シュワーツェルは,ランキング50位以内に入る秘密を知っている。それはPGA以外のツアーでプレーすることだ」
  • OWGRにおいて,メジャーでは優勝者が100ポイント獲得し,また,予選通過したプレーヤーがすべて最終順位に応じてポイントを獲得できる。2位から5位までは順に60,40,30,24。また,予選通過ラインギリギリのプレーヤーは1.5ポイント。
  • ポイントは104週(2年間)分が合計される。直近13週分のポイントは調整がなされないが,残り91週分は古いポイントほどウェイトが低くなるように調整がなされる。
  • OWGRはスコアの情報を考慮しない。例えば,タイガー・ウッズは2000年のUSオープンを15打差で優勝し,2008年のUSオープンをプレーオフで制したが,いずれも同じポイントを手にする。
  • サガリン法(Jeff Sagarinのレーティングシステム)については,Golfweekのサイトに補足情報が掲載されているが,ランキングの計算方法に関しては開示されていない(ブラックボックス)。
  • スピアマンの順位相関係数は,OWGRとSBSEとで75%,OWGRとサガリン法とで73%,SBSEとサガリン法とで88%。

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  • 池田勇太とニック・ワトニーは2010年末のOWGRで同じランキングであったが,ふたりが同一の大会でプレーしたときの結果には大きな差がある。
  • 回帰分析の結果,ランキングに関して最もバイアスが大きいツアーは日本ツアー。