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ぜんぜんわからない 俺たちは雰囲気でゴルフをやっている

マサ・ニシジマ『ゴルフコース好奇心』ゴルフダイジェスト社|Front 9

前にもこの本について触れたけど,大好きだからもう一度取り上げる。

ゴルフコース好奇心―ANALYSIS OF A GOLF COURSE

ゴルフコース好奇心―ANALYSIS OF A GOLF COURSE

抜粋
  • 第二次大戦前まではグリーンは地面の砂を単に固めて作られていた。これを「プッシュドグリーン方式」と呼ぶ。戦後になると,雨対策,グリーン面の高速化を図るために排水層,中間層(粗砂),砂層の3層からなる「USGA方式」のグリーンが主流になる。
  • ルーティングとは,ゴルフコースに与えられたその用地の中で,18ホールを結びつけるルートプランを意味します。「アリソンバンカー」でお馴染みのチャールズ・ヒュー・アリソンや「スコットランドの宝石」と称賛されるクルーデンベイを8の字を描くようなルーティングに改造したトム・シンプソンは,「ランドスケープの天才」と呼ばれました。
  • アリスター・マッケンジーが米カリフォルニア州のサイプレスポイントの海際で見せた15,16番と続くパー3のあり方などは,ルーティングと景観がマッチした典型的な例です。たとえパー3が続いても,それが自然で,しかもその土地が持つ地形や景観を生かしたものであれば,無理にパー4やパー5にする必要はないのです。
  • セントアンドリュース・オールドコースは,1番をスタートすると湾に沿って9番まで行き,そこで折り返してクラブハウスに戻って来る,「ゴーイングアウト・カミングイン」のルーティングで,ここからアウト・インという言葉が生まれたと言われています。
  • 現代のデザイナーは,そのコース全体が持つ特徴,コンセプトが1番ホールに如実に表れるよう設計する傾向にあります.英国のリンクスや第二次大戦前に造られた古典的なコースでは,コースの特徴が表れるのは3番ホールあたりから。
  • 最終18番は競技の勝敗を左右するよう,タフなデザインをする設計家も多いのですが,これもプロツアーが盛んになった現代の傾向です。
  • 広大な土地に18ホールが展開すればスケールが大きいというわけではなく,地形の持つ高低差をうまくデザインに取り入れ,かつ攻略ルートが最低でも3本ぐらいできるキャパシティが必要でしょう。
  • ホールには設計家が設定したティショットをのランディングエリアを示すIP(インタークロス・セクション・ポイント)があります。そのIPを通る線で,ティグラウンドの向きと平行なラインをIPラインといいます.このラインより先のフェアウェイにティショットを打つことが理想であることを示しています。
  • IP点を含む,2本のIPライン(もう1本のIPラインは,グリーンの向きと平行なライン)に囲まれたフェアウェイ部分が打球を置く理想的な場所で,このホールの攻略ルートになります。
  • 川奈やクリスタルダウンズのように景観が特にすぐれたゴルフコースは,スタートからその景色をはっきり見せることで,ゴルファーに強烈な印象を与えます.その場合,見晴らしのよい打ち下ろしは格好の地形となるでしょう。
  • せっかくの豪快な打ち下ろしホールで,ゴルファーからウッドを取り上げてアイアンで刻ませたり,2打目にひたすら距離の長いアプローチショットを打たせることが,果たして戦略性と呼べるでしょうか。
  • 距離を長くすることばかりにこだわり,パー3のレイアウトを安易に考える設計家のゴルフコースに大作はありません.打ち下ろしの造り方を見れば,そのコース,ひいては設計家のレベルがわかるというものです。
  • 楽しくプレーできてスコアはまとまるが,ゴルファーに何の印象も与えないホールが続くコース.これがホリディコースなのです。
  • ドーム状の「クラウネッドグリーン」や後方部が下がっている「フォールアウェイグリーン」の場合,ピン位置によっては,奥からのアプローチ,パットのほうが随分とやさしくなります.ダブルグリーンのセントアンドリュース・オールドコースはその好例で,2000年の全英オープンで,タイガー・ウッズはこの奥からの攻略ルートを発見し,覇者となりました。
  • 全米オープンコースの改造修復でも知られる設計家のリース・ジョーンズは,ゴルフコースの造成で最も注意しなければならないのが,このグリーン後方のあり方だと唱えるひとりです。
  • ひつじなどの家畜動物が風雨から身を守るために地形の窪みなどに掘った穴が,その後侵食され,ゴルフコースのバンカーとなりました。
  • 問題はプレールートから完全に隠れてしまうような場所にバンカーがある場合で,しかもそこがバンカーの存在を予感させないような平らな地形であれば,アンフェアといわれても仕方ないでしょう。こうしたバンカーは,アゴの砂をできる限りプレーヤーに見せることで,ハザードの存在を確認させる必要があります。
  • ゴルファーの飛距離が飛躍的に伸びた今日,単にティを後ろに下げてヤーデージを延ばすよりも,ティを左右に振ってティショットのルートに変化をつけたほうが効果的な場合があるのです。
  • オーストラリア・タスマニア島のバンブーグルデューンズは,現在世界で最も注目されているモダンリンクスコースでしょう。コース設計は現在,注目度ナンバーワンのトム・ドォーク。まだ開場間もないコースですが,リンクスランドの砂丘の合間を縫うようにレイアウトされたコースは,完成してから何十年もの歳月を経てきたかのようです。
  • 男女とも,日本と英米のトーナメントの決定的な差は,そのグリーンにあります。今日までの日本のグリーンは,たしかに速さは英米並みだったかもしれませんが,コンパクションが低すぎた(柔らかい)のです。
  • 多くの2グリーンは,確かに(ゴルフコースとして)相応しくありません。本来,グリーンに向かってフェアウェイは徐々に絞り込むように設計されるのですが,2グリーンの場合は,もうひとつのグリーンのルートも考慮しなければならないため,フェアウェイをうまく絞り込むことができません。しかし,同じ2グリーンでも,アプローチエリアからプレールートをはっきり二分する設計をした場合,話は別です。
  • 「アンピナブルエリア」という言葉があります。(…)グリーン上でピンを切れない場所,また切った場合にアンフェアになってしまう場所に対して,この言葉を使います。例えば,グリーンエッジぎりぎりの場所は一定のパッティングラインしかないため,アンピナブルエリアです。
  • 名手たちが集うマスターズでは,アンピナブルエリアぎりぎりのところに意識的にピンを切り,プレーヤーのアプローチやパッティングの技量を試す演出が随所に見られます。
  • 井上誠一氏は,グリーンの見せ方に繊細の注意を払った設計家のひとりでした。一見,ただの受けグリーンに見えて,実施は馬の背状に後方が下がっていたり,反対に後方が下がっているように見えても,実は受けていたりと,地形の錯覚をうまく利用ウィ,グリーンの見せ方にひと工夫を凝らしました。
  • 日本に多大な貢献をした(コース設計家チャールズ・ヒュー・)アリソンですが,実は英国から招こうとした人物は当時,世界的に著名だったハリー・コルトという設計家でした。アリソンはコートの設計パートナーで,バンカーやグリーンの形状をデザインするよりも,主として18ホールのルートをどのようにとるかを考案する景観性造園学(ランドスケープ)の第一人者でした。
  • 全米オープンなどのトーナメントコースの場合,特にティーショットのIP(ボールの理想的な落下地点)を越えたエリアのラフは,ペナル(課罰)的要素の強いものであることが求められます。
  • 地形の変化に乏しい平坦なホールでは特に,ティからフェアウェイまではプレーイングゾーンにしないほうが望ましいでしょう。日本の名門コースでもよく見かける,ティからすぐに整備されたフェアウェイラインが続くホール。こうした一見,美しいホールの多いコースは,かえってそれほど高く評価されないものなのです。
  • 日本ではそれほど意識されないラフの美観ですが,米国では昔から重視されています。特に最近,米国で流行しているモダンクラシックタイプのコースでは,その設計コンセプトが「自然との調和」だけあって,どのコースもかなりこだわったラフの造り方をしています。
  • 人間の視覚とは面白いもので,三方がマウンドに囲まれたグリーンに対し,プレーヤーはグリーン面だけが視界に入り,意外の三方のマウンドは気にならないものです。しかし後方部のマウンドがないと視界は広がり,左右のマウンドが気になり出します。

ここでHOLE9終了。長くなったのでポストを改めます。Back9はこちら↓

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