Linkslover

I want to be a window through which Japanese golfers can see what’s happening outside. TPI G2/P2.

バックスイングの技術

この動画を見て〈バックスイング〉ついて思いを馳せた,という話。

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Sasho MacKenzie の場合

まずこの動画。「ヘッドスピードが111-112mph」という長髪の主人公に対して,ゴルフバイオメカニクスの第一人者 Sasho MacKenzie は,「とにかく速くバックスイングしろ」とだけアドバイスをした。結果,119mphまでヘッドスピードが向上した。

そのアドバイスの理由を,Sashoはこう語る。「ヘッドスピードは《ハンドパスの距離》が長いほど,そして《ダウンスイング中にグリップにかけるフォースの平均値》が大きいほど速くなる。バックスイングを速くすると,切り返しのときにより大きな力が必要になるから,そうすれば結果的に《ダウンスイング中にグリップにかけるフォースの平均値》は大きくなる」。

僕が思うに,バックスイングを速くすると副産物としてショルダーターンが大きくなる(=《ハンドパスの距離》が長くなる)のも一因だろうし,加えてこの主人公はスイングのメカニクスの完成度がもともと高いからこそ,こんなシンプルなアドバイスでヘッドスピードを向上させられたのだろう。とはいえ,多くのアマチュアゴルファーにとって,「速くバックスイングする」というのはまず試すべきことのひとつになるんじゃないだろうか。

諸見里しのぶの場合

で,思い出したのが諸見里しのぶ。「私は特にバックスイングが苦手で気を使っている」らしい *1。たしかにバックスイングって,最初のころは何も考えずにやってたけど,ゴルフスイングについて少し考えるようになると,なんだかよく分からなくなってくる。インサイドに引くなとかアウトサイドに上げるなとかフェースは閉じろとかフェースは閉じすぎるなとか左ハンドルとか左ハンドルしすぎるなとか……。

でも,そのバックスイングに関するあれこれも,「速くやる」ことだけ意識すれば,自然に解消できることが多いんじゃないかって気がしてきた。

三觜喜一の場合

《左ハンドル》といえば三觜さん。YouTubeでは《左ハンドル》の話が主だけど,僕が直接聞いて記憶に残っているのは,「僕は《テイクバック》よりは《バックスイング》という言葉の方が好きだ。バックスイングもダウンスイングと同じで《スイング》するものだと思っているから」という趣旨の発言。

残念ながら,それがどういう意味だったのか,深掘りして訊くことはできなかったけれど,今思えば上記の Sasho MacKenzie のアドバイスに通じるものがあるんじゃないかと思ってる。

宮里藍の場合

宮里藍の場合はバックスイングだけじゃなくてスイング全体になるけれど,いわゆる「太極拳スイング」を思い出す。1回のスイングを約1分かけて行なうというもの。

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これ,自分がゴルフを始める前に見て,違和感をいだいたのを覚えてる。なぜなら「ゆっくりする動きと速くする動きって別物じゃないか」と思うから。

もちろん「ゆっくりできない動きは速くやってもできない」んだけど,一方で「速くやったときの動きをゆっくりやって完全に再現できるか」というと,否だと思う。特に切り返しのとき動き。あれは,クラブは慣性の法則でまだ右に動こうとしているのに体は左回りのターンを始めるから,だから上半身と下半身との捻転差が大きくなるし,グリップ内の圧力変化も起こる。でもそれって,ゆっくりスイングしたときには起こらない(か起こってもその度合いははるかに小さい)でしょ?

もちろん世界の宮里藍はそんなことは十分承知なんだろうけど,あれを見てアマチュアゴルファーが表層的にマネするのも危険だよなと思う。

〇〇〇〇の場合

どこで誰がどのプレーヤーについて語ったものだかすっかり忘れたけれど,とある飛ばし屋のツアープレーヤーが意識しているのは,「しっかりとバックスイングすること」なんだとか。