この本の存在を知ったのは,こちらのブログ記事です。
鈴木タケル・一川大輔「世界のスポーツ科学が証明する ゴルフ新上達法則」 ゴルフも人生も no plan (;´Д`)
こちらに書かれている,
え~この本は今までの経験則の理論とは違い、各種データ・論文を元にゴルフを解説しているので、説得力もあり、新時代のゴルフ技術本と言ってもいいと思う。
ただ、このようなゴルフ技術本を読む人間は、知らない知識を知ることだけじゃ満足せずそのミスに対する解決策を求めているので、その辺が十分に説明できていないような気もする。
というのが,そのとおりだと思いますね。こういうタイプの本,僕は好きですが。
学者ならではの慎重な記述
たとえば,「筋電図による分析によれば,プロはダウンスイングの途中からフォロースルーの早い段階まで,左前腕でクラブを加速している」という項目。ここでもすかさず,「このような科学データを扱うときの注意点として,『結果』がすべてではないと考えていただきたい」と断り,「客観的には左腕で加速させていたプロゴルファーであっても,右手で振り下ろす『動感』(自分が感じている運動の感覚)を持っている人さえいた可能性がある」「客観的データを主観的な感覚(動感)は必ずしも一致しない」,この動きを取り入れようと意識して練習したとしても「『現在の自分の状態に応じた』適切な方法論をとらないかぎり,せっかくの練習方も,それに費やした努力も,無駄となりかねません」と言っている。
こういう記述/スタンスはとても真摯だし,学術的・科学的には至極まっとうだと思うのですが,「答えのなさ」にイライラする人もいるでしょうね。
データの見せ方には,ひと工夫欲しかった
ということで「まっとう」な本ではあるのですが,もうちょっと改善できそうだと思ったのは,データの見せ方。たとえば上記の筋電図の分析のところでこんなテーブルがあるんですが,
ビジュアライズしてわかりやすく表現できないものですかね。われわれ論文を読んでいるわけではないので。
興味をひいた箇所
僕がいちばんおもしろいと思ったのは,p.68からの「動きのブレはプロでもなくせない。それよりブレたときの微調整能力が大切」という項目。
要するに,「ショットが安定しているのはスイング動作の再現性が高いから」というのは必ずしもそうではなく,「1回ごとのスイングにおいて動き方が違っているのに,高度に熟練したゴルファーは,それにも関わらず,ボール速度を同じにそろえている」。ゆえに,「初級者が上達するには,一回一回の動きの誤差の幅を小さくしていくことは必要」であるものの「誤差をまったくゼロにすることを目指すのは,現実的ではない」ので,「誤差の範囲をある程度まで小さくしたならば,次の段階として必要なのは,『結果の再現性』を高めるための調整する能力を上げる練習」である,ということ。
スイングのメカニックをついつい考えすぎてしまうので,「それよりも大事なのは調整力,ショットの結果だぞ」と自分に言い聞かせられる効果がある分析結果ですね。
「ワッグルゴルフブック」シリーズは好き
この本もそうですが,実業之日本社から「ワッグルゴルフブック」と銘打ってリリースされているゴルフ本があります。
同じ編集者の方が作られているのでしょうか。爆発的にアピーリングというわけではないものの,特徴のある本づくりをされているな,という印象を受けます。
ワッグルゴルフブック ザ・リアル・スイング 科学が解明した「ゴルフ新常識」
- 作者:誠昭, 奥嶋
- 発売日: 2017/10/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
ワッグルゴルフブック ザ・リアル・スイング 最適スイング習得編
- 作者:奥嶋 誠昭
- 発売日: 2018/07/20
- メディア: 新書
ワッグルゴルフブック 世界標準 シングルになれるパット術 ロジカル・パッティング
- 作者:吉田 洋一郎
- 発売日: 2017/08/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)