MyGolfSpyによる,テーラーメイドSDLRミニドライバーの評価記事。SLDRドライバーとの比較や,他社のドライビングFW(PingラプチャーFW,キャロウェイ X2 HOT DEEP)との比較もあって,読みごたえあります。
ソース
TaylorMade-SLDR-Mini-Driver-Review
拙訳
SLDRミニ,ドライバーかフェアウェイウッドか,は,体積260ccのスチールヘッドで,ロフト角は12度,14度,16度,長さは43.5インチ。SLDRと銘打たれている他のクラブと同様に,ミニは低浅重心でスピン量が減り,(適切なロフト角なら)高い打ち出し角が得られる。よくわかった? じゃないよね。これが参考になるかも。
テーラーメイドによれば,SLDRミニは主にティーショットでの使用を念頭に設計されているが,「スムーズソール」のおかげで,普通のドライバーよりははるかに地面から打ちやすくなっている。ちなみに,SLDRミニが通常のドライバーより2インチ短いのも,このターフでの抜けが関係している。
「長年にわたってドライバーの体積は460ccにまで大きくなってきたものの,フェアウェイウッドの体積は基本的に変っていない。ツアープロや上級アマは,3番ウッドをフェアウェイよりもティーインググラウンドで使うことが多い。こういった事実が,ティーショットで使いやすい,通常の3番ウッドとドライバーの中間に位置するサイズのメタルウッドを開発する原動力となった」。Brian Bazzel(TaylorMade の Senior Director of Product Creation for Metalwoods)
ちょっと迷うことがある。つまり,多くのゴルファーはヘッドの体積という観点からは考えない。つまり,あるプレーヤーは460ccより440ccのドライバーを好むけど,多くの人は460ccのドライバーと160ccの3番ウッドとの大きさのギャップは気にするとは思わないのだ。一方で,ゴルフは心理的なゲームであることも知っている。あるゴルファーが,460ccの,あるいは425ccの,いや,400ccのドライバーにまったく慣れないということも,真実なのだ。300ccより小さいドライバーで育ったゴルファーがいて,そしてどうしたことか大きなヘッドのドライバーが打てない人が一定数いる。
SLDRドライバー(460と430),SLDRフェアウェイ,そしてSLDRレスキューとは違って,SLDRドライバーには調整機能がない。より端的に言えば,ロフト角が変えられない。SLDRドライバーと違って,(そしてSLDRフェアウェイやSLDRレスキューとは違わなくて),SLDRミニドライバーには「スライダー」がついていない。確かに,ソールがごちゃごちゃしてたらターフの抜けは期待できませんもんね。ミニドライバーでドローかフェードかを打ち分けたかったら,クラブの軌道とフェースの開き具合で調整してくださいね。
他のすべてのSLDRクラブと違って,SLDRミニドライバーはなめらかなマットなシルバーの塗装が施されている。SLDRミニドライバーは大盛り上がりになって大成功を収めるようなたぐいのクラブではないけれど,比較的短いコースでプレーしていてティーショットの正確性を求めているゴルファーや,通常の3番ウッドや460ccドライバーをまったく諦めているようなゴルファーにとっては,魅力的なオプションになる。キャロウェイの X2 Hot シリーズ,PingのラプチャーFWとの比較は,以下の通り:
これらすべての情報は素晴らしいけれど,読者のみなさんの中には,実際にSLDRミニドライバーの実際のパフォーマンスがどうで,クラブセッティングのどにへんに位置させるべきクラブなのかということに,興味をお持ちの方もいらっしゃると思う。ということで,試打用のクラブを借り,SLDRミニドライバーと同時に,SLDRドライバー(460と430)と,SLDRフェアウェイウッド(14度のスプーン)とともにテストした。シャフトは純正のTP。以下の図表にある通り,スプーンは12.5度にまでロフトを立て,10.5度の430ccのドライバーは12度までロフトを寝かせた。それらすべてをティーショットで試したほかに,ミニドライバーとフェアウェイウッドは芝の上からも打ってみた。以下は,結果の平均値。
芝の上からは,ミニドライバーの数値はフェアウェイとほぼ同じになった。ミニドライバーの方がボールの初速が速くて飛距離も長いが,これはクラブの長さが1/4インチ長いのが理由だろう。多くを物語っていると思うのは,正確性の数値もほとんど同じ(かミニドライバーの方が少しだけいい)ということだろう。これらの数値が示唆するように,ミニドライバーはテーラーメイドの普通のフェアウェイウッドと比べて,芝の上からのショットが難しいということはない。ラフからのショットは……,われわれはテストしなかった。しかし,Brian Bazzel に訊いたところ,「普通のフェアウェイウッドでラフからうまく打てないのであれば,ミニドライバーでも結果は同じでしょう」とのこと。
ティーショットに関しては,多かれ少なかれ想像していたような数値が出てきた。SLDRドライバー430の結果は抜きん出ている。飛距離が出て,スピン量が少ない,そして……,まっすぐ飛んでくれない。まぁポイントは,他の3つのクラブにある。理論的には,460ccのSLDRドライバーがもっとも寛容性が高いはずだし,もっともまっすぐ打ちやすいはずだし,そして実際にそういう結果が出た。ミニドライバーはそんなに違いがあるわけでもなく,そしてデータが示すように,フェアウェイウッドよりは少しだけ寛容性が高い。それはフェアウェイウッドよりはヘッドが大きいことと完全に整合的だ。
上の表を見れば明らかなように,キャリーや飛距離,ボールの初速や正確性に関して,SLDRミニドライバーは完全に460ドライバーとフェアウェイウッドの中間に位置する。スピン量はもうちょっと減って欲しいけど,これは単に理想的なティーの高さの問題だろう。
わたしは偶然を信じるような人間ではないし,テーラーメイドに関していえばまったく偶然を信じない。ということで,このSLDRミニドライバーの発表は,マスターズの開催週に巧妙に照準を合わせたものだろう,とみなして問題ないだろう。聞いたところでは,ジャスティン・ローズがマスターズでSLDRミニドライバー(ロフトを13度に調整)する可能性は,非常に高いということだ。ローズはミニドライバーを主にティーショットで使うだろうが,もしかしたらローズは8番ホールのセカンドショットでミニドライバーを使うとも言われている。まちがいなく,テーラーメイドとしては,世界でもっとも多くの人に注目されるトーナメントでミニドライバーが使われてほしいと望むだろう。とはいえ,オーガスタは,クラブメーカーが(テーラーメイドでさえもが)契約プロに道具の変更を強いることができるような場所ではない。もし今週,多くのプレーヤーがミニドライバーを使うようなことがあれば,それはプレーヤーが(テーラーメイド契約外のプレーヤーも,と言われている),マスターズを勝つための最高のショットを放つためにミニドライバーが必要だった,ということに他ならない。
多くのゴルファーにとっては,ミニドライバーは日々使うクラブにはならないかもしれない。コースによって使い分けるようなクラブになるのだろう。
スクランブルでプレーして3番ウッドよりはちょっと飛距離が欲しい? なら,ミニドライバー。
短いコースでプレーしてて,コントロールが大事? なら,ミニドライバー。
デカヘッドのドライバーと3番ウッドが嫌い? なら,2本のミニドライバー。
確かに,ドライバーをバッグから抜いて代わりにミニドライバーを入れるようなプレーヤーもいるだろうけど,多くのゴルファーにとっては,ミニドライバーはドライバーというよりはフェアウェイウッドだろう。SLDRミニドライバーはドライバーよりは飛距離が出ないし,ドライバーより寛容性(や正確性)があるわけでもない。しかし,ドライバーと3番ウッドのハイブリッドみたいなもので,そのあいだをうまく埋めてくれる……,その「あいだ」というのを初めて耳にするにしても。
SLDRミニドライバーは,5月2日発売。通常モデルは279ドル,TPモデルは379ドル。