Linkslover

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トム・ワトソンの“還暦の挑戦”@日経新聞「私の履歴書」

今さらですが,2014年5月の日経新聞に連載されていたトム・ワトソンによる「私の履歴書」は,2009年の全英オープンの話から始まりました。それは,

最終日の最終ホールまで、1打差ながら単独首位を堅持。最後のドライバーショットも無難に終えた。後はセカンドでボールをグリーンに乗せ、2回のパットで手堅くボールをカップインさせればいい

だけでなく,

当時、59歳だった私が優勝していれば、大会史上、最年長優勝の記録を142年ぶりに塗り替えるところだった。それだけでなく、メジャー最年長優勝、ツアー最年長優勝といった記録更新もかかっていた。

という状況でした。

当時僕はまだゴルフは始めていなかったけれど,テレビで見るのは小さいときから好きで,トム・ワトソンのこの「還暦の挑戦」も,リアルタイムでテレビ観戦していたのを覚えています。「ゴルフって,パーオンして2パットしてパーを重ねていく,そしてショットかパットが良ければバーディーをとっていく,そんなゲームなんだな」と,そのとき思ったものです。

ワトソンが述べている通り,最終18番のティーショットを打ち終えたとき,ワトソンのメジャー最年長優勝は決まったものだと思いました。

この年の選手権の開催場所は英国の北西部にあるターンベリー・エイルサコースだった。ゴルフ本来の「あるがまま」を体現する、このコースとは相性も抜群だ。求められるのは近代ゴルフの特徴である「長さ」ではなく、狙ったところにボールを運ぶ「正確さ」である。「それならば、まだ自分にもできる」という自信はあった。

ターンベリー・エイルサコースがどういうコースか。前にも引用しましたが,

ターンベリー アイルサコース - 漂流する身体。

を読むのが,手っ取り早いと思います。リンク先に書かれてある『プジョー・ゴルフガイド』は,ターンベリー・エイルサコースについて,「天気のいい日は,あなたが想像しているより多い」「人生の中で少なくとも一度は試すべきコース」などと記しています。

あの日の18番ホールに戻ろう。冒頭で紹介した通り、第1打は思い通りに完璧な球が打てた。しかし、第2打は打ち手の意図を超えて、グリーンをオーバーしてしまう。ただ、打った瞬間の手応えは良かった。実際、ボールが落ちてきたときには「おい、ホールに向かっているじゃないか」と思わず口に出だしていたほどだ。正直に言えば、この瞬間、私は「勝った」と思った。しかし、それもつかの間、勝利の女神はするりと私の横を通り抜け、同じ米国のプレーヤー、スチュワート・シンクに微笑(ほほえ)んだ。

これは,ESPNのニュース番組の映像。最終日のプレーのハイライトに加え,ワトソンとシンクのコメントも入っています。

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