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1にコースで2に道具,3・4がなくて,5にスコア

トム・ワトソンとジャック・ニクラウスの「真昼の決闘」

今月の日経新聞の「私の履歴書」はトム・ワトソンですが,今日5月12日の第11話に記されていたのは,『真昼の決闘』。1977年にターンベリーで開催された全英オープンでの,ワトソンとジャック・ニクラウスとの熱戦です。

ここから先、私とジャックは、多くのゴルフファンが有名な映画になぞらえて「真昼の決闘」と呼んだ一騎打ちの長い死闘を演じていくことになる。

両者譲らず、10アンダーで迎えた最終日の17番、ロングホール。ここで私は着実にバーディーを奪ったが、ジャックは2メートルほどの短いバーディーパットを逃してしまう。ようやく、1打のリードを奪った私は、最終18番を手堅く攻めるため、1番アイアンでティーショットを放った。ところが、ジャックは驚いたことにアイアンではなく、ドライバーを抜いてくるではないか。

あの日、ジャックのドライバーの調子は決して良くなかった。彼は何度か、それを左に引っ掛けていたことを私は知っていた。だから、私は彼がドライバーを手にした時、正直言って驚きを隠せなかった。

実際、その打球はジャックらしからぬものだった。彼のボールは右に飛び出し、ハリエニシダの生い茂ったラフへと一直線に向かって行った。その瞬間、私はジャックのボールは次打が不可能な状態、つまり、「アンプレイアブル(アンプレ)の地点にまで到達しているのではないか」と内心、自分に語りかけたほどだった。

実際にはジャックのボールはアンプレ地点から4~6インチほど内側にかろうじて残っていた。とはいえ、周囲はうっそうと茂ったハリエニシダに囲まれている。にもかかわらず、ジャックは渾身(こんしん)の力を振り絞って、たくさんの草や葉とともに第2打を放ち、見事にボールをグリーンにまで運ぶことに成功した。

あまりにも見事なリカバリーショットに私は思わず、うなった。そして、ジャックが打った跡をわざわざ見に行った。一体、どのような場所から、あのような見事なショットを放ったのかを確かめたかった。同時に、私自身が勝つために何をなすべきかを再度、自分に確認させたかった。

そして運命の第2打。自分ではうまく打てた、と感じていた。どのぐらいピンに寄っているかまではわからなかったが、とにかく、上々のショットという手応えだけはあった。

グリーンに上がると、私のボールはホールからわずか2フィート半ほどだった。対するジャックのボールは残り40フィート。帯同キャディーのアルフィー・ファイルズが興奮しながら「君の勝ちだよ」と漏らすのを私は制した。視線の先には獲物を狙うような目をしたジャックがいた。彼が第3打のパターを終えるのを私はグリーンの傍で静かに待っていた。

その映像がYouTubeにあった(さすが)。18番,ワトソンの第2打は,映像の34分ぐらいからです。

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