Linkslover

旧:GOLF103。道具とかスイング理論とかコース設計とか海外ツアーとか,ゴルフのいろんな側面に興味があるんですが,結局は「自分のスコアがどうしたら縮まるのか」という観点から眺めています。イギリス在住中の2年間に名コースを巡ったのは遠い思い出(世界TOP100コースのうち20以上でラウンドしました)。

アマチュアのための Strokes Gained: Putting|そしてMark Broadieのオリジナルの論文を読む

何かのはずみでkkとStrokes Gained(以下,SG)の話になり,アマチュアでもSG: Puttingが計算できないものかなぁと思っていたのですが,自分がかつてこんな記事を書いていたのをすっかり忘れていました。

golf103.hatenablog.com

繰り返しますが,これによると,「2パットの平均距離は,ツアーにおける Strokes Gained Putting と強い相関関係にある」ということで,さらにそれにさらに「成功したバーディーパットの平均距離」と「GIRのパーセンテージ」を足すことで,SG: Putting代わりの指標になりうるであろう,とのことです。

納得したようなしないようか気持ちのまま,さらに(アマチュアの)SG: Puttingについて調べていたら,SGを提唱したMark Broadie教授のオリジナルの論文に出くわしました。そういえばオリジナルは読んだことがなかったなと思って目を通したら,いろいろと面白かったです。

"Assessing Golfer Performance Using Golfmetrics ", Mark Broadie, Columbia University
https://www.pgatour.com/content/dam/pgatour/shotlink/adp-broadie-v-20080428.pdf

もともとはGolfmetricsで大量に計測・収集されたデータをもとに,プロそしてさまざまなレベルのアマチュアのショットを分析して,スコアの違いに寄与しているのは何かを探る,というのが趣旨だったようです。で,その中心になるのはSGですが,この論文の中では「Shot Value」と呼ばれています。その定義はSGとほぼ同じですが,ここでは「ホールまでの残り距離に応じてスクラッチゴルファーがホールアウトまでに要する平均打数をまず Fractional Par と定義し,ショット前のFractional Parからショット後のFractional Par を引いて,さらにそこから1を引いたものをShot Valueとする」と定義されています。

つまり,14フィートからのFractional Parが1.8だとして,この距離から1パットでホールアウトすれば,そのShot Valueは「1.8 - 0 - 1」で0.8,これがSGでいえば0.8打のゲインと言われるものですね。あるいは別の例としては,パー3ホールでティーショットの距離からFractional Parが3.2だとして,そのティーショットを14フィート(Fractional Parは1.8)のところにつけたとすれば,そのShot Valueは「3.2 - 1.8 - 1」で0.4,ということです。

こうしたShot Valueを導入する理由として,伝統的なスタッツ,例えば総パット数やGIR(パーオン数)には,少なくともふたつの欠点があるとしています。ひとつめは,そうしたスタッツは,個々のショットの良し悪しを単独では計測できない点。典型的な例としては,グリーンを外してチップでピンまで寄せたとき,それはパット数を減らす効果があるけれど,それはパットの良し悪しというよりはショートゲームの良し悪しも反映されるということ。ふたつめの欠点としては,それらのスタッツは「数」が単位であって,距離の要素を考慮に入れていない(フェアウェイを1ヤード外しても30ヤード外してもフェアウェイヒット数には反映されない)ことが挙げられます。

さて,個々のGolfmetricsのデータを見ると,いろいろと興味深い点が分かってきます。

まず言えるのは,「距離と方向性はトレードオフ」ではないということ。これはプロのティーショットとアマチュアのそれとを比較すれば明確ですが,プロの方が断然飛んで,さらに横のブレが小さい。(なので,例えばアマチュアがスイングを直さずに高反発のドライバーを使ったとしても,それがどれぐらいのアドバンテージになるのかはわかりませんね)

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左がプロのショット,右がAm3(スコアが98-120のハイハンディキャッパー)のショットの散らばりぐらいです。

下のテーブル,Puttingのところだけ注目してほしいのですが,これを見るに「50%の確率で1パットで決められる距離」あるいは「2パットでホールアウトした平均距離」は,スキルのいいインディケーターになるようです。

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つまり,プロは8.2フィートから50%の確率で1パットで決めるし,2パットで決められる平均距離が30フィートであるのに対して,Am3のグループでは,50%の確率で1パットで決められるのが3.8フィート,2パットで決められる平均距離が12フィート,ということです。なので,この記事の最初に戻りますが,「2パットで決められる平均距離」でもって,自分のパッティングのスキルを測っても良さそうであることが分かります。

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これは距離別の平均パット数をスキル別に見たもので,うまい人はどの距離からもうまい(逆もしかり)であることが分かります。

いいスコアと悪いスコアとを分けるものはなにかというと,それはナイスショットというよりミスショットであることが分かります。Shot Valueがマイナス0.8以下をAwful Shot,プラス0.8以上をGreat Shotと定義したときの,それぞれのスコアに対する貢献を見たのが以下の表です。

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「ゴルフはミスのスポーツだ」といいますが,下手な人ほど「いかにしてミスを避けるか」を考える方が良さそうですね。

最後にこれが,ショットタイプごとの貢献度です。

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これによれば,どのスキルレベルであっても,ロングゲームの影響がもっとも大きいことが分かります。