ソース
Preventing Low Back Pain: A Golfer’s Guide – GolfWRX by Nick Buchan, 18 Jul 2014
拙訳
月イチゴルファーであろうと,毎日ボールを打つ人であろうと,クラブをスイングした結果として腰に違和感を感じることは,少なからずあろうだろう。
ブラント・スネデカーやリッキー・ファウラー,タイガー・ウッズなどを含む多くのツアープレーヤーは,今シーズン腰の痛みを訴え,そのために大会を欠場したりもした。実際,研究結果によると,ゴルファーにもっとも多く見られるつねに怪我は腰の怪我であるようだ。この痛みの正確な理由は熱い議論の種であるが,ゴルフスイングの結果生じる,腰椎の急速で強力なズレ,そこにかかるチカラが腰痛の原因となっていることに,多くの人は賛同すると思う。
私の個人的な経験(もちろん,他の研究結果も参照している。実際,適切な学会の研究は個人的な経験を語るよりはるかに良い!)によると,ゴルファーにおける腰の痛みにはいくつかの要因があり,適切な治療をすれば,腰痛は予防ないし解消できる。ということで,実際にその方法を見てみよう:
アドレスの間違いと特徴
研究によると,間違った動作の傾向とスイングのタイプが,腰の痛みを経験する傾向に大きく影響を与えているようだ。間違ったスイングに見られるのが,猫背,横方向への湾曲,あるいは腰の張りすぎで,これらが腰痛の可能性を高める。「逆C字」のアドレス姿勢やフォローするー(コリン・モンゴメリーのスイングを思い浮かべればいいと思う)や,トップでのリバースアングルが,私の経験上,もっとも腰痛を引き起こしていると思う。研究によると,リバースアングルは特に腰痛に結びつきやすい。
面白いことに,「古典的な」スイング(ジャック・ニクラウスやサム・スニードのように,バックスイングで左足のカカトが浮き,ヒップターンが強調されるもの)が,現代のゴルフスイング(左足のカカトが浮かずに小さなヒップターンと大きなショルダーターンで「Xファクター」が強調される)よりも,腰にかかるチカラに関してはやりやすいということが示されている。
体幹を鍛える
臀部と腹部の筋肉が体を安定され,腰にかかるチカラをいくらか和らげる。実際,腹部と臀部の筋肉が弱いと,腰は,胴体上部を支え,スイング中の安定性を保つためにかりだされる。これはよろしくない。
臀部と腹部の筋力に関するほかの問題は,左右のインバランス,片方がもう片方に対して強い場合だ。いくつかの研究が,臀部における筋肉のインバランスあるいは非対称は,腰痛を引き起こす可能性があることを述べている。これをチェックするシンプルな方法として,supine single leg bridge test がある。
仰向けに寝て,膝を曲げて足の裏を床につけ,臀部とハムストリングの筋肉を使っておしりを持ち上げ,首から膝までをまっすぐに伸ばす。ここから,左足を床から離して,10秒間そのままにする。
- 骨盤が落ち始めるか,右足がどちらかの側に揺れるか
- ハムストリングや腰が痙攣するか?
もしこれらが起こったら,臀部の強度に問題がある可能性がある。このテストを,左右の足を逆にして繰り返したときに結果が大きく異なったら,左右のバランスがとれていない可能性がある。
ニュートラルな姿勢を保つ
研究によると,腰の痛みを抱えるゴルファーは,ボールへのアドレス時により背骨を曲げるクセがあるという。しかし,注目すべきはポスチャーだけではない。日々の生活での姿勢もまた,骨盤のニュートラルなアラインメントに気をつけなければならない。骨盤が前方に傾きすぎている上体(Anterior pelvic tilt)は特に,腰の痛みにつながりやすい,なぜなら,その骨盤の傾きがハムストリングを伸張させ,ハムストリングと臀部の機能に影響を及ぼし,これら働きが阻害された筋肉に代わって強度と安定をもたらすために腰がより仕事をする必要があるからだ。
胸椎の可動性を高める
腰椎はある程度の伸張と回転に堪えられるが,胸椎がそう設計されているほどではない。残念ながら,実際は,多くの人びとはゴルフスイングにおける適切なローテーションを実現するに十分な胸椎の可動性を著しく欠いている。それゆえ,他の場所でその可動性の代わりを埋め合わせしなければならない。つまり,それほど多くのローテーションには対処できないように設計されている,腰椎でだ。
胸椎の可動性を改善することは,腰にかかる不必要なあらゆるトルクを和らげることができる。2002年におけるプロゴルファーを対象とした研究では,腰の痛みを訴えているゴルファーはバックスイング時により左右の傾きが曲がりが大きく胴体のローテーションが少ないのに対して,痛みを訴えていないプレーヤーは2倍以上の胴体のローテーションを行なっていた。以下のような可動性を高めるドリルがある:
ヒップの可動性を高める
腰痛を持っていたあるプロゴルファーのケーススタディは,スイング時のヒップターンを増やすことで腰痛の痛みが減ったことを示していた。他の研究では,ダウンスイング時のヒップローテーション(lead hip rotation)の減少と腰痛との相関関係を示していた。簡単にいえば,胸椎の可動性を高めるのと同様,ヒップの可動性も,スイング時に腰にかかるチカラを大いに和らげるのだ。このようなドリルをやってみるのはどうだろう? 腰を床にピッタリつけると,腰のストレッチになる。
(腰の)ストレッチをやめる!
長年,とりわけゴルファーは,腰の「ウォームアップ」のために hip crossover や scorpion などのエクササイズを推奨されてきた。しかし実際には,上で述べたように,腰椎は大きく動くようには設計されていない。私が主張したいのは,大半のゴルファーは,腰椎を大きく回転させるエクササイズを避けるべきで,なぜならこれは腰の痛みの基となる問題に油を注いでいるだけだからだ。かわりに,ヒップと胸椎における動きを高めることに注力すべきだ。私の言葉だけでなく,伝説的なアスレチックコーチ Mike Boyle によるこの記事を見てみよう。そして,ヒップと胸椎の可動性を高める,上のビデオのエクササイズをやってみよう。
本当のところは,ゴルフにおけるいい動作は,ヒップとショルダーを回すことから来るのであって,腰椎を回転させることからではない。要するに,腰を回すゴルファーは望ましくなく怪我をしやすいのに対して,ヒップとショルダーを回すゴルファーが望ましいのだ。