正直言うと,嫌いだったんですよ。「なんなんだ,このロン毛は」「なんなんだ,この華奢なカラダは」って。だけど,同時にすごく記憶に残っていた。そして,去年のヨーロピアンツアーで「Race to Dubai」タイトルをとったあたりから,「嫌い」を「気になる」が上回り初めて,そして最近,「こいつのこと好きかも」と思うようになりました。
キャリア
トミー・フリートウッド(Thomas Paul Fleetwood),1991年1月19日生まれ。出身はイングランドのSouthport,といえば,リバプールの近くで,Royal Birkdaleのあるあたり。サッカーチームはリバプールFCではなくエヴァートンFCのファンだそうです。
2009年の「Scottish Amateur Stroke Play Championship」や2010年の「English Amateur」など,アマチュア時代に輝かしい成績を残し,2010年にヨーロピアンツアーでプロデビュー。2011年に下部ツアー「Challenge Tour」で優勝(Kazakhstan Open)。2013年に「Johnnie Walker Championship at Gleneagles」でツアー初優勝。2015年には「BMW PGA Championship」でアルバトロスを達成(Wentworth Club,4番ホール)。
2017年に躍進し,1月に「Abu Dhabi HSBC Golf Championship」でツアー2勝目,3月に「WGC-Mexico Championship」で準優勝,4月は「Shenzhen International」で最終日63で8打差からプレーオフにまで残る。6月の全米オープンでは4位,7月に「Open de France」で優勝。年末には世界ランキングTOP20入りを果たした。そして2018年1月に「Abu Dhabi HSBC Championship」でタイトルをディフェンドしました。 (ソース)
今年9月にパリで開催されるライダーカップのチーム入りが確実視されるフリートウッド。カップにかけるアツい気持ちを,こんなかたちで表現しています。
https://www.instagram.com/p/Bd2RDgLnQ4C/
カムバック
しかし,そのキャリアはつねに順風満帆ではありませんでした。ツアーデビュー後は順調,しかしその後は思うようにはいかなかった。「自分ができないようなすごいプレーを他の人がしているのを見るのは,それまで経験したことがなかった」。2015年の全英オープン,初日3アンダーで「これはチャンスだ」と思ったものの,2日目にショットが崩れて「76」の予選落ち。「この日を境に自分が下り坂をおちていくのがはっきり認識できた」といいます。
父親の勧めで,昔のコーチにスイングを見てもらったフリートウッド。ドライビングレンジで4番アイアンを打ってみたものの,50ヤード右の池に打ち込み,「こりゃひどいね」と,コーチを顔を見合わせたりするぐらいに,ひどかった。改善に取り組み始めても,最初の数ヶ月はいっこうに良くならなかった。
しかし,キャディのイアン・フィニスの支えなどもあり,その後見事に復活。2017年の快進撃は,上記の通りです。
ちなみに,そのイアンとは,こんな仲の良さ。フリートウッドの第一印象は「小せえな」だそうです。動物で例えるなら「ミーアキャット」。
Caddy Flak: Tommy Fleetwood and Ian Finnis - YouTube
プレースタイル
とにかくグリーンを外さない。優勝した「Abu Dhabi HSBC Golf Championship」では,2017年にGIRが66/72,2018年に63/72。「飛距離にはこだわならい」とどこかで語っていまいしたが,2015年あたりのジョーダン・スピースに通じるものがあるかもしれません。
アイアンはつねに短く持ち,パンチショット気味にボールを叩く。その結果が脅威のGIRであり,風が吹こうがスコアを崩さない。「Abu Dhabi HSBC Golf Championship」のサンデーバックナインで6バーディーの30というスコアは,「こんなコンディションでは信じられない」と,マキロイも舌を巻いたようです。
その精神を反映してか,フリートウッドが勧めるドライビングレンジでの練習は,ハーフショット。胸から胸ぐらいの振り幅で,手をできるだけ使わない。こうすることで,自分がどういう軌道で振っているか確認できるといいます。強く打たない,飛ばそうとしない。こうやってフィーリングを確認して,スリークォーターやフルショットに移るのがいい,と言います。
あと,映像を見ると,ロングパットがうまいことに気づきます。グリップはかつてはコンベンショナルだったけれど,いまはペンシル(クロー)グリップに。
ギア
WITBの最新情報はこの通り。
WITB|トミー・フリートウッド|2017年3月15日|Arnold Palmer Invitational - Linkslover
10代のころからナイキのアイアンを使っていたとかで,ナイキがクラブ製造から撤退しても,アイアンはいまだにナイキ。リンク先ではドライバーは「Vapor Fly Pro」なっていますが,いろいろな映像を見る限り,テーラーメイドだったりタイトリストだったりキャロウェイだったりのドライバーを試しているようです。公式ウェブサイトでは,5番から9番アイアンがVapor Pro,4番がVapor Pro Comboアイアンとなっています。
メジャーへの期待
今年全英が開催されるカーヌスティ。ここのコースレコードを持っているのは,なにを隠そうトミー・フリートウッドです。