最近,橋本治の『「わからない」という方法』を読んでいて,
その中で橋本が『男の編み物』という本を書いた話が出てくるんだけど,これが示唆的だった。橋本はこの本を,まったくの編み物初心者に向けて書いたと。なので,普通の入門書であれば触れられもしない「毛糸や編み針はどこで買えばいいのか」という点にまで触れていると。(それ以外にも橋本はその本について,写真ではなくイラストを多用した,なぜならイラストは情報の取捨選択ができて,伝えたいところにだけフォーカスできるから,というようなことも述べているけれど,その点についてはここではこれ以上触れない)。
で,例によってゴルフに置き換えて考えてみると,そこまで触れている/そういう思想のもとに作られている初心者向けコンテンツって,ありそうでなかなかないのでは?
といったときにたまたま,「ゴルフに興味がある」んだけど「何から始めていいか分からない」という女性と話す機会があって,「まぁとりあえず近くのシミュレーターに行って試しに遊んでみましょうか」ってことになったんだけど,「慣れてきたらコースでラウンドでも…」って話になったら,「あの……ボールってあれ自分のやつなの?」
もしかしたらその人は,ボーリングみたいに「その場所にいったらボールからシューズから,何からなにまである」と思っていたのかもしれない――っていうと,マーク金井がよくゴルフとスキーを対比させて書いていたことを思い出すんだけど:いわく,スキーは手ぶらでいってもスキー場にいったらウェアから板から全部レンタルできると。でもこの「ボールって自分のやつなの?」っていうの,けっこう目から鱗でしたね。パウロった。
ところでその女性となんでゴルフの話になったかというと,「海外に住みたい→一番可能性があるとすれば駐在員の妻(i.e. 駐妻)になること→しかしそんな相手はいない→そんな人とどうやって出会ったらいいか?→いちばん確率が高いとすればゴルフじゃなかろうか→ゴルコンとか行けばいいのでは?→でもゴルフってどうやって始めれば?」という展開。
これだけ聞けばこないだの話に似ていなくもない――というか本質的に同じ――ような気がするけれど,前も言ったように,ゴルフ人口が増えればなんだっていいんです。
その人はともかく一般的な話として,そういうコンテンツって潜在的なニーズがありそうなので,なんとかしたいなーと思った次第です。
