Linkslover

I want to be a window through which Japanese golfers can see what’s happening outside. TPI G2/P2.

部分と全体|何がしたいのか,なぜそうしたいのか,なぜそうなるのか

こないだのラウンドレッスン*1のときに聞いたんだけど,名古屋かどこかに「マキロイみたいなスイングをする」というゴルフコーチがいるらしいと。それで,マキロイっぽいスイングの仕方を教えているの? よく分かんないんですけど,んなこといたってゴルフスイングなんてその人の身体的特性の制約を受けるから,「○○みたいに振りたい」って思うのって功罪あるよなー,としか思わなかったです。まったく無意味とは思わないにしろ。

そういえばマキロイといえば,これが面白かった。

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「ヒップローテーションのコツを教えてほしい」って言われたマキロイが,「自分にとっては自然にできることなので」っていって,大した回答が出てこなかったという。「インパクトのときに骨盤をがっつり開くってのは考えない方がよくて,それよりはインパクトからフォローするーにかけて上半身と下半身とが同調して自然に動くことを意識した方がいい」みたいなことは言ってますけどね。

このヒップローテーションの話もそうなんだけど,ゴルフスイングって〈見えているもの〉と〈やっていること〉って一致したりしなかったりするので,そのことを意識しないとドツボにはまる可能性があるし,その〈見えているもの〉も〈なぜそうしたいのか〉を意識しないで盲目的に追求しても意味ないし,さらにいえば,その〈見えているもの〉が〈なぜそうなるのか〉まで考えた方がいいと思うんですよね。

具体的に話します。

そのラウンドレッスンのとき,ラウンド前の練習で言われたのが〈切り返しのときの腕の外旋・内旋〉って話で。自分的にそれは,小澤さんが言ってるこれだと理解しました。

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最初に小澤さんのこれを見たとき,「また簡単なことを難しく言ってる(だけだ)な」と思ったんですよね。その思いは今でも変わらないんですけど,でもこれを意識してスイングしてて,分かったことがある。それは,

  • 〈しかるべきスイング〉をしていたら〈この感覚〉になるし,
  • 〈この感覚〉を意識していたら〈しかるべきスイング〉に近づく,

ということ。

じゃあその〈しかるべきスイング〉って何かというと,〈体の正面で打つ〉っていうこと。このことは前にも書いたんですが,

〈体の正面で打つ〉というのは〈リードアームアブダクションアングル〉の問題であり〈ショルダーターン〉の問題である - Linkslover

でもまぁこれが本質的だ(と思っている)からしょうがない。

つまり,アドレスのときって腕とシャフトとに角度ついてるでしょ(つまり少しコックしている状態)。そこから腕はパッシブに,上体を回す(〈胸郭リード〉と言ってもいい)かたちでバックスイングするじゃないですか。そうすると最初はクラブヘッドは上体の動きに遅れてついてくるかたちになるけれど,バックスイング後半は上体の角速度が落ちる(正確に言えば角加速度が落ちる)けど,クラブヘッドは慣性の法則で動き続けようとするから,結果的に前腕は外旋する。これが〈切り返しのときの腕の外旋・内旋〉の前半部。

あとはまぁ切り返ししているからダウンスイングに入るわけだけど,そのときに〈寝たものを起こす〉ような感覚が必要というか,そういう意識を切り返しのときに持つことで,シャフトがアンダーから入るのを防ぐというか。

っていうことで結局いつも言ってる話に戻るんですが,そういう〈スイングの全体感〉というか〈スイングを包括的にみたときの見取り図〉みたいなのがあって,その中に〈切り返しのときの腕の外旋・内旋〉という部分があるんだけれど,その全体と部分とが呼応しているというか,上記のようなフィードバックループがあるというか。そういうパースペクティブを持たずに切り返しの腕とか手の動きだけを意識するのってどうなのかなーと。

……っていう感じで,この動きに限らずなんですが,ゴルフスイングに関してはいろんな人がいろんなこと(〈部分〉について)を語っているんだけど,それが〈全体〉の中に有機的に収まっていないと危険だし意味がないし,なぜその〈部分〉にフォーカスしないといけないのか,その意味とか意義とかをちゃんと考えたいですよね。

おしまい。

あ,書き忘れたけれど,上記のプロセスで〈手首のちからの入れ具合〉はデリケートだけど重要なポイントかも。つまり,ヒンジ方向(背屈・掌屈)は自由に動くけれど,コック方向(撓屈・尺屈)方向は(クラブが垂れないように)パッシブを入れつづけるという。