ゴルフやってると〈体の正面で打つ〉というフレーズを一度は目に/耳にすることがあるけれど,この意味がよく分からないので,ちょっと考えてみた。
先行事例
ググるといろいろ出てくるんだけど,これは〈体の正面で打つ〉という概念は既知だとして――それが何か定義も再考もすることなく――話を進めているし,
https://www.golfdigest-minna.jp/_ct/17025626
これは〈体の正面で打つ〉の意味を再考しているようで〈範囲〉とか何とか言って話を難しくしているだけだし,
ゴルフの体の正面で打つとは?インパクトの瞬間の体の正面ってどこのこと? | Golf Addict Clubゴルフの体の正面で打つとは?インパクトの瞬間の体の正面ってどこのこと? | Golf Addict Club
これは「下半身が止まる」から「体の正面で打つと言うのを忘れてほしい」と言ってる――といいつつ〈体の正面で打つ〉とは「両肩のラインをスクエアにしてインパクトする意味」だと述べている。
ということで,日本のゴルフ界でよくある――言葉だけが先行して概念が整理されていない状況――ですね。
僕はこう考える
まぁ各自が勝手に解釈してそれでパフォーマンスが向上すれば何でもいいんですけど,僕はこう考えた。〈体の正面で打つ〉とは〈腕がつぶれないままスイングする〉感覚だと。専門用語を使うなら,「リードアームアブダクションアングルをできるだけ変えない」という表現になりますかね。
その前に急いで言っておかなきゃいけないことがある。それは,この記事の中ではショルダーラインとトルソーは分離して動くことを前提にしているということ。三觜さん風にいえば〈胸郭リード〉でバックスイングもダウンスイングもできている状態。じゃなかったら,〈体の正面で打つ〉が〈上体が一枚の板のように〉なっちゃう。
で,リードアームアブダクションアングルについて。以下の図にあるように,リードアームと上体――ショルダーラインかトルソーかはとりあえず曖昧にしておく――との角度です。
プロ(青)とアマ(赤)のスイングを見比べると顕著なように,アマチュアの場合はバックスイングでこの角度が大きくつぶれちゃってるんですね。
で,いわゆる〈P6〉のポジション――ダウンスイングでシャフトが地面と平行になるとき――,そのつぶれた角度は戻ってくるんだけど,プロがなんならセットアップ時より開いている状態であるのに対して,アマは角度が戻ってくるけどまだマイナスなままである。
つまりアマチュアの場合,バックスイング前半でショルダーターンが全然できてなくて腕だけが動いちゃってる状態であると。なので一見〈深いトップ〉ができているができているように見えるけどそれは見かけの問題ですよ,っていうのは,以下の記事で書かれていた通りだし,
スイングを殺す10の動き|GOLF.com - Linkslover
当然ショルダーターンができていないから,切り返し以降の動力源はこの潰れた角度を戻す動作――要するにに腕の筋肉――に頼ることになるから大してパワーとスピードが生み出せない……ということになるわけですね。
話を〈体の正面〉に戻すと――僕の感覚でいえば――この角度が潰れないのが〈クラブが体の正面にある〉状態。逆にこの角度が潰れちゃうと〈クラブが体の右側にきちゃう〉状態,となるかな。
〈体の右側〉っていうとまた〈体の右側で打つ〉みたいな言説があって*1紛らわしくなるんだけど……。
こう考えた結果
久しぶりに300ヤードのドライバーショットが出たということだけ報告しておきます。
おまけ
ここでもスピースが「体の正面」って語ってるわ!
スピースのスイングの何が問題か|スピース自身が語る|GolfWRX - Linkslover
と思ったら原文では「in front of me」だった。正確には「体の前」とすべきだったろうけど,「(swinging) behind me」との対比だから,「正面」でまぁ良かったのかも。
マキロイも「クラブを in front of me に」って言ってるわ。
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