Linkslover

I want to be a window through which Japanese golfers can see what’s happening outside. TPI G2/P2.

〈日常のゴルフ〉と〈本気のクラブセッティング〉

取り留めのない文章を書きます。

クラブ開発の「飛んで曲がらない」を打破するのは「ゆらぎ」 | GEW - ゴルフ通に刺さる最新ギア情報メディア

Twitterでこの記事を知った。ストレンジ・フルーツCEOの大江旅人のインタビュー。「職業アート・ディレクター。これまでジャズなど様々な分野に関わってきたが、20年前、グローブライドに招かれて『オノフ』をディレクションする立場についた。「アートな発想」が期待されてのことだった」とのこと。知らんかった。

この人の語る内容には思想的に共感できる部分が多々あるんだけど,だけどオノフを買おうという気にはならないのが面白いなぁ,と。

「ぼくがやりたいのは『日常のゴルフ』を実現すること」

「『日常のゴルフ』を基点に考えれば、その対極がタイガー・ウッズ、昔はジャンボ尾崎とかの存在ですね。彼らのゴルフに憧れて、彼らを目指すクラスターが沢山いた。そこを狙う物作りです。その一方、たとえばスコットランドの田舎町でゴルフ好きが集まる世界もありますよね。ぼくが志向するのはその世界で、リージョナリズムと言いますが、日本では欠けている部分なんです」

「近所の図書館に行くような感覚でプレーする『日常のゴルフ』が、そこにあった。要するに『散歩するゴルフ』って感じなんですよ。日常の連続にゴルフがふわっとある感じで」

「思想というより、哲学に近い感じでしょうねぇ。ゴルフの在り方の問題や、自分の生活とゴルフとの距離の問題かな。つまり施設面のハードを含めて、ゴルフという概念なりコンセプトをどうやって再デザインしていくのかという問題です。過去の継続や継承ではなく、新しいゴルフの哲学をどうやってつくるのか」

「ゴルフの日常化には物理的な課題として持ち運びの手軽さがある。そこでね、9本でやる『ナインクラブス』っていうのを以前から構想してるんですよ。コースをティーグラウンドとフェアウェイ、グリーン周りに3分割して、それぞれ3本という発想です。今のクラブはロフト3度ピッチでフローしますが、ぼくの考えでやると6~7度になる。」

「ぼくの9本は本気の9本でね、理想はPGAの一流プロ、たとえばライアン・ムーアみたいな選手が9本を自分で担いで堂々と戦い、優勝したらカッコいい」

「スコットランドは二度撮影に行きましたが、あの土地は『オノフ』の聖地というか、ぼく自身、スコットランドのゴルフが大好きなんですよ。その理由は日常に近いこともあるけれど、何よりも風景としてね、ゴルフコースが自然に寄り添っている。自然をねじ伏せたコースじゃなくて。そこが本当にいいんですよ」

とかね。

まぁこの人の語る「ホストと一次産業」の話とか「オノフの『上質』とか『おとな』とかの世界観」とか「『飛んで曲がらない』の対極としての『ゆらぎ』」とかはどうでもいいんだけど,あと「9本すらいらないだろ」とかも思うけど(8本で普段まわってる人間のマウンティング),でもこの人が『日常のゴルフ』って言葉で表現しているであろうもの,それがすごく恋しい。

バッグに必要最小限のクラブだけ入れて,ふらっとコースに行って,さくっとラウンドして,さらっと家に帰ってくるっていう,そういうの。

ただまぁ,だからといってクラブセッティングは「ふらっと」って感じにはならないわけで,ツアー支給品のヘッドとプロトタイプのシャフトにしたいし,アイアンはシュッとした(そして好きなプロゴルファーに関係のある)ブレードにしたいし,赤だの黒だのなんちゃらアームズだのほんちゃらウィングだのってのは選ばないよなぁと。

大人? 上質? 知るか。こちとらほっといても「中年」にカテゴライズされる年齢なんだ。そんな年齢の人間が普通に分別のある選択と行動をしたら,それはほっといても「大人」だろ。トッププロが使う道具以上の「上質」があるのか。

とか,なぜか意味もなくやさぐれた口調になってしまうんだけど,いやーブランディングって難しいですね。

というか,オノフにしろ僕にしろある種のスノビズムなんだろうけど。