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2020年にメジャータイトルが〈必要〉なプレーヤーランキング|Golf Digest

「メジャータイトルが必要」とかって「余計なお世話だろ」と思いつつ,こういうのはやっぱり面白いですね。Golf Digest の記事です。何をもって〈必要〉と言っているかは,読んでいけば自ずと見えてくると思います(たぶん)。

この人はさて何位でしょう

ソース

A ranking of who *needs* a major the most in 2020 | Golf News and Tour Information | Golf Digest by Christopher Powers, 9 January 2020

拙訳

除外規程
  • 2019年にメジャーを獲った人たち(注:タイガー・ウッズ,ブルックス・ケプカ,ゲーリー・ウッドランド,シェーン・ラウリー)。
  • とりあえずメジャー1勝してる人たち。アダム・スコットとか,ヘンリク・ステンソンとか,ウェブ・シンプソンとか,いろいろ。もちろん2勝目はあげたいだろうけど,〈必要〉というほどではない。
  • パトリック・カントレー,ザンダー・ショフレ,ジョン・ラーム。この3人はまだ若いし,まだ〈必要〉じゃない。その時はいつか来る。
  • ジャスティン・トーマス。2017年に1勝しているだけじゃなく,近いうちにもう何勝もするだろう。まだ26歳だし,2020年に2勝目は必要ない。
  • フィル・ミケルソン。50歳を目前にし,唯一取り逃しているUSオープンもあるけど,キャリアグランドスラムを逃したからといって,彼のキャリアに対する見方が変わるわけじゃない。
  • ジョーダン・スピース。スランプはたしかに気がかりだけど,すでに3勝しているし,直近では2017年に勝っている。彼は大丈夫…いまのところは。
  • トニー・フィナウ。みんなに愛されているし,メジャーを獲る力もある(トップ10も6回しているし)けど,彼に必要なのはPGAツアーの2勝目。
  • パトリック・リード。以下の記事にあるように,いくつかのプレーヤーは評判を守るため/人々の見方を変えるためにメジャータイトルが必要だけど,リードの場合は,メジャーを獲ったからといって変わらない。

ということで,ランキング。

第11位 リー・ウェストウッド

46歳,メジャー未勝利。わかってますよ,彼の時代は終わったということを。46歳だし,残されたチャンスも少しだ(今年はマスターズと全英にだけ出場権がある)。もうウェスティは終わった? 違う! 去年の Royal Portrush で彼はまだまだやれることを見せてくれた。週末のリーダーボードに残って,最終的に4位タイで終わった。今年の全英は Royal St George's に戻ってくる。そう,42歳のダレン・クラークが2011年にメジャー初勝利をあげた場所だ。同じように母国に錦を飾れたら,彼のキャリアに大きな影響となる。同じようにもしマスターズでマジックが起こったら? 2010年以降,ウェストウッドは3位タイ以上が3回ある。彼自身は「文字通り(メジャーのことは)気にしてない」と言ってるが,それも好材料だ。

第10位 ジェイソン・デイ

32歳,メジャー1勝(2015年PGA)。2018年,デイはPGAツアーで2勝(Farmers と Wells Fargo)し,USオープン以外のメジャーでトップ20以上の成績だった。そのあとは CJ Cup で5位タイ,Torrey で5位タイ,Pebble で4位タイ,The Players で8位タイ,マスターズで5位タイというのが,2018-19シーズンのスタート。そのあとはといえば,トップ10が1回だけ。あと,ZOZOのときのスキンズマッチで優勝。32歳とまだ若いし,プライムタイムはまだこの先に訪れるだろうと思うけど,デイについて謎なのは,いつもそうだけど,体は大丈夫? そうあってほしいけど,そうじゃなかったら,メジャー2勝目への時間は残りわずかだ。数年前は2勝目なんてすぐだろろうとみんな思っていたけれど。

第9位 マーク・リーシュマン

36歳,メジャー未勝利。過去数年,メジャー優勝予想でリーシュはみんなの「隠し球」だった。でも遅かれ早かれ,「隠し」ではなくなるだろう。「成し遂げられなかった男」になる。36歳のリーシュマン,同胞のデイのような健康問題は抱えていないけれど,そのプライムタイムは終わりつつある。可及的速やかにメジャー初勝利をあげたいことだろう。それができれば,シェーン・ラウリー状態になる。その後のキャリアが楽勝モードになるのだ。

第8位 ブライソン・デシャンボー

26歳,メジャー未勝利。マッドサイエンティストがすぐに消え去ることはない。ではなぜ2020年にメジャータイトルが必要なのか? 理由がいくつかある。予選落ちするごとに,スロープレーで責められるたびに,新しいメソッドを思いつくにつれ,デシャンボーはその輝きを失いつづけている。PGAツアーで5勝しているとしても。今シーズンメジャーに勝てば,「アンチ」を黙らせるだけでなく,その「変さ」を人々に認めさせることになる。彼を彼たらしめている,その「変さ」を。「これこそが勝利への道だ」ということを,証明する必要がある。

第7位 ポール・ケイシー

42歳,メジャー未勝利。もしケイシーににたようなキャリアを探すとするならば,最初に飛び込む名前は,先に挙げたウェストウッドだろう。ケイシーの場合,PGAツアーで3勝,ヨーロピアンツアーで14勝,メジャーで9回のトップ10入りがある。対してウェストウッドはPGAツアー2勝,ヨーロピアンツアー24勝,メジャーのトップ10入りが18回。明らかにウェストウッドの方が,メジャーで優勝に迫ることがケイシーよりはあったけど,ケイシーより4歳年長だ。ケイシーには時間がある。いや,そうかな? 直近の数シーズン,30代終盤から40代前半にかけて,ケイシーは自身最高のゴルフをしている。それをメジャー優勝につなげられてはいないし,メジャーでトップ10入りしたのは2017年のマスターズが最後だ。それ以降,メジャー11大会で最高成績は11位タイ。ケイシーの時代は終わったのか,あるいはここからギアを上げて,同胞ジャスティン・ローズのメジャー1勝に並ぶことができるのか?

第6位 松山英樹

27歳,メジャー未勝利。松山のメジャー勝利は「するかしないか」ではなく「いつするか」が問題だった。達成すれば日本人としての初メジャーとなるが,2019年は2年連続でメジャーでトップ10入りがない年になった。松山のメジャー勝利はまだ「いつするか」の問題なのか? 答えはイエスだと思う,だけど早いに越したことはない。若手が台頭するPGAツアーでは,松山のような27歳はすでにベテランのように感じられる。「松山はいつ勝つか」の代わりに,われわれの頭はラームやカントリーやショフレ(がいつ勝つか)に移っている。

第5位 トミー・フリートウッド

28歳,メジャー未勝利。フリートウッドはまだ28歳で,メジャーに本格的に参戦したのが2017年からであるにもかかわらず,まだメジャーを勝てていないのかという感がある。USオープンでは2017年と18年にそれぞれ4位と2位という成績で,Royal Portrush での昨年の全英では4位タイだった。これについて,ふたつの見方ができるだろう。つまり,

  • このままやっていって好成績を積み重ねれば,いつか勝利のときは訪れる。

あるいは,

  • 「あと一歩」が積み重なるにつれ,サンデーバックナインで奮闘したが手が届かなかったという苦い記憶が積み重なる。

フリートウッドは「あと一歩」がまだ3回しかないし,後者だと決めるには時期尚早だ。だが直近の2回(Shinnecock と Portrush)は惜しすぎる。しかし,「メジャーの呪い」を避けて,メジャーの複数回優勝を目指すのなら,次の出場大会で勝つことは多いに助けになるだろう。

第4位 リッキー・ファウラー

31歳,メジャー未勝利。もし私のように,メジャーでリッキーに賭けて多くの金を失ったならば,もう十分だと思うだろう。だけどこの4月も,いつもの4月と同じように,ファウラーがグリーンジャケットを手にするオッズが20-1とか25-1とかいうのを見ると,オイシすぎると思って賭けずにはいられなくなるだろう。「リッキーは勝たなきゃだめなんだ!」と私は言うだろう。「セルジオやフィルがようやく初勝利をあげたみたいに!」と。そして彼は,4位タイで終わる。いつもどおり。ファウラーはそのメジャーでのプレー内容で,多くの人々をイラツカせてきた。もう誰も,彼をBPWAM(best player without a major; メジャーなしのベストプレーヤー)とは呼ばなくなった。いまこの称号は,フリートウッドやカントレー,あるいはショフレにこそふさわしい。こんなことすら想像する。ファウラーが Golf Channel の「Live From」のマスターズプレビューでその名前すらあげられないことを。そうなればもしかしたら,ファウラーが人目につかないところでしれっとメジャータイトルを手にするかもしれない。ゴルフ界の真のエリートと呼ばれるためにはどうしても必要な,メジャータイトルを。

第3位 ダスティン・ジョンソン

35歳,メジャー1勝(2016円USオープン)。パラレルワールドでは,DJはメジャー7勝を挙げている。

  1. 2010年のUSオープン,Pebble Beach。3日目を終えて3打差のリード。最終日に76でも勝てていたところ,82のスコア。
  2. 2010年のPGA,Whistling Straits。バンカー問題。
  3. 2011年の全英,Royal St. George’s。27歳のDJは最終日2アンダーの68で42歳のダレン・クラークに勝てていたが,72だった。
  4. 2015年のUSオープン,Chambers Bay。18番パー5でDJは簡単に2ショットでグリーンに乗せ,イーグルでかっこいい優勝,2パットでもジョーダン・スピースとプレーオフだった。何が起こったかは皆知ってる。
  5. 2016年のUSオープン,Oakmont。実際に勝ったやつ!
  6. 2018年のUSオープン,Shinnecock。36ホールを終えて4打差の首位だったが,USGAによる土曜日のコース設定にやられて,立て直せなかった。木曜日と金曜日のようなコースのままだったら,楽勝だっただろう。
  7. 2019年のPGA,Bethpage Black。そう,ケプカは勝利を自ら放り出すところだったけど,実際には負けなかった。15番ホールを終えてDJは1打差に迫ったし,そのあとパーだったらプレーオフにもつれ込んだだろう。実際には,直後にDJは自爆した。

われわれが住むこの世界ではDJは1勝しか挙げていないし,それはDJファンには不満だし,もちろんジョンソン自身もそうだろう。これを治す時間はある。35歳のDJは25歳のときのような能力を見せつけている。でもこのリストにいる多くのプレーヤーのように,メジャータイトルへの窓は簡単に閉じる。一方で,DJの心の奥では,手に入れられたはずの伝説的なキャリアを逃しているという思いもあるに違いない。DJは当代のグレッグ・ノーマンになるというリスクをおかしている。つまり,最も才能に溢れていて,もっともその証を見せていない(メジャータイトルという観点から)という。2020年に1勝すれば,また違った話になるだろう。

第2位 ロリー・マキロイ

30歳,メジャー4勝(2011年USオープン,2012年PGA,2014年全英,2014年PGA)。マキロイはこのリストの中でいちばんメジャーで勝っているのに,第2位にランクされた。なぜか? それは,マキロイのメジャーでのスランプが深刻だから。2014年,Valhalla でのPGAでメジャー4勝目を挙げたとき,人々はメジャー二桁勝利という,過去に3人(ジャック・ニクラウス,タイガー・ウッズ,ウォルター・ヘイゲン)しか成し遂げていない偉業を語り始めた。しかし驚くことに,2020年1月現在,マキロイはいまだにメジャー5勝目を追い求めている。

マキロイについてさらに理解できないのは,「あと一歩」もないのだ。マキロイのWikipediaページで,メジャーのセクションは多くの黄色(トップ10入り)が目につく。そうなったら過去5年で「あと一歩」があっても良さそうなものだが,そうでもない。2016年の全英で5位タイ? ヘンリク・ステンソンに16打差だったけど。2017年全英での4位タイ? スピースに7打差。2018年マスターズで5位タイ? 日曜日のラウンド前半でパトリック・リードに勝るチャンスはあったけど,すぐにフェードアウトしていった。マキロイがメジャーで本当に惜しかったのは,2018年 Carnoustie での全英。14番ホールのイーグルでフランチェスコ・モリナーリに1打差と迫ったけれど,そのあとひとつもバーディーがとれず,2打差で終わった。

とにかく,DJと同じように,マキロイは依然として勝ち方を知っているし,圧倒的に勝っている。過去11ヶ月で4勝しているし,それには The Players と WGC が含まれている。だけどいまこそ,その力をメジャーでのさらなる勝利に活かすべきだ。

第1位 マット・クーチャー

41歳,メジャー未勝利。このリストでクーチャーが1位になったこと,驚きかもしれないが,驚くにはあたらない。「メジャータイトル,誰が最も必要か」と問われれば,クーチャーだと言わざるをえない。

はじめに,その年齢。クーチャーは41歳で,彼の最高のプレーは30代終盤から40代前半にかけて見られているものの,それがいつまで続くかはわからない。50代目前にして最高のプレーができる可能性があるというのはミケルソンが証明しているところだが(50歳を越える可能性だってある),それでもミケルソンの最後のメジャータイトルは彼が43歳のときのものだ。だからといって,クーチに残された年月はあと2年だというつもりもないけれど,45歳を越えてメジャーを勝ったのは過去に5人しかいないというのも事実。しかもそれも,30年前の1990年,Hale Irwin が Medinah のUSオープンを勝ったのが最後だ。いつかそのクラブにクーチャーが入会することを信じる者はいるか? 彼が若返ることはないのに加えて,コースが短くなることもないのだ。クーチャーが1勝するとしたら,できるだけ早い方がいい。

そして,クーチャーのっては,メジャータイトルが汚名返上になりうるという事実。ガルシアについてはそうなった(わずかの期間)し,その親友のクーチャーにも当てはまるのでは? メジャーで勝ったからといってすぐにクーチャーが気前のいい人間と呼ばれることはないだろうけど,局面を変えるカードを手に入れられるのは確かだろう。勝利は万能薬。ということで,クーチ以上に2020年のメジャー勝利が必要な人はいないのだ。