Linkslover

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プレッシャーのかかるパッティングはプロでもミスをする|そのパットの価値が高いほどミスの確率が高まる|Golfweek

1年前に『PGAツアーで最高のボールストライカーは,ジャスティン・ローズである,らしい。』*1ってな発表があった MIT Sloan Sports Analytics Conference で,また面白い発表があったみたいです。

発表の原資料はこちら。要するに「choking」を精査したわけですが,abstractによると,先行する類似の研究との違いは,パフォーマンス(の低下)とその結果としての報酬(賞金額)との関係を明示した,というところにあるとか。

最終日最終ホールのパットの成功確率を従属変数とし回帰分析を行なっており,その独立変数として,「そのパットの価値」「プレーヤーの年齢」「パットの距離」「プレーヤーの生涯獲得賞金額」「その日のパッティングの調子」が選ばれています。

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ソース

http://golfweek.com/news/2015/feb/28/golf-analytics-mit-sloan-sports-putting-pressure/ by David Dusek, 28 February 2015

概要

MIT Sloan Sports Analytics Conference において,アイダホ大学の Daniel Hickman,セントラル・オクラホマ大学の Neil Metz が,2014 ShotLink Intelligence Award を受賞した研究を発表した。タイトルは,「The Impact of Pressure on Performance: Evidence from the PGA Tour(パフォーマンスに対するプレッシャーの影響:PGAツアーのデータから)」。

この研究のゴールは,プレッシャーがプレーヤーのパフォーマンスに与える影響を数値的に示すこと。統計ジャンキーと数値マニアでいっぱいの聴衆を前に彼らが説明したのは,あるパットを決めるときと外すときとの賞金の差が広がるほど,そのパットを外す確率が高くなるということだ。

ナッソー方式で3ドルを賭け,5フィートの下りのパットを前に手が震えたり髪の毛が逆立ったりした経験のあるゴルファーにとって,この結果は常識だと思えるだろう。面白いのは,Hickman と Metz がこれを数値化したことだ。

Hickman と Metz は,2004年から2012年のあいだに集められた ShotLink のデータを用いて,プレッシャーが最大に高まる最終日最終ホールにおけるPGAツアープレーヤーのパッティングを精査した。そのデータは,210大会における568のプレーヤー,延べ23,596パットの数値からなっている。

彼らは,18番ホールでのパットの価値を数値化するために,そのパットを決めた場合と外した場合との賞金の差を算出した。たとえば,そのパットを決めたらプレーヤーが3位でフィニッシュし賞金が35万ドルだとし,そのパットを外したら5位タイで賞金が19万ドルだとしたら,そのパットの価値は16万ドルであると算出される。

ShotLink の数値から, Hickman と Metz は,プロが18番ホールで3パットする確率は6パーセントであることが分かった。また,彼らは,プレーヤーの最終順位(ひいては賞金額)に影響を与えないパットは考慮に入れていない。

彼らの研究の結論として,あるパットの価値が5万ドル上がるごとに,そのプレーヤーがパットを決める確率は1パーセントずつ下がるという(注 要するにいろいろ変数を放り込んで回帰分析したときに,パットの価値の係数がこうなるということですね)。しかし,6から10フィートのあいだのパットにおいて,その効果の影響度は非常に大きくなるという。

「8フィート,9フィート,10フィートのレンジのとき,パットの価値が25千ドル増えるにつれてパットを決める確率は約2パーセント下がる」と,Hickman は語る。

プロたちは,4フィート以内からのパットは98パーセントの確率で決める。14フィート以上のパットではプレーヤーの期待が下がるので,プレッシャーは薄まる。6から10フィートのレンジでは,プロは決めなければというプレッシャーが高まる。

「ということで,その関係式が示しているのは,パットが決まりそうな確率,あるいはどれほど自信があるか,それによって,パットの成功確率が決まってくる,ということだ。中途半端な距離のとき,結果に大きな差が出てくる」

その研究はまた,プレーヤーの生涯獲得賞金が多いほど,プレッシャーの影響が下がることを示している。つまり,かつてプレッシャーにさらされた経験のあるゴルファーは,その経験を活かしていることが意味されよう。また,その日にパッティングの調子がいい(Strokes Gained Putting の観点から)ゴルファーは,18番ホールでのプレッシャーの影響を比較的受けないことも示されている。

これら数値は重大には見えないかもしれないが,自らもスクラッチゴルファーである Metz は,プロも週末ゴルファーと同様に緊迫する状況ではパフォーマンスが下がるということを知ってほしいと願っている。

「いいプレーヤーが大事な場面でミスをする場面を目にすうることがよくあるでしょう。ババ・ワトソンはメジャーで優勝していますが,昨年のフェニックスオープンでは,5フィートのパットを外しました。なので,アマチュアが競技の大事な場面でミスをしたとしても,ガッカリすることはないのです」