Linkslover

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楽器の練習方法に学ぶ,効果的な練習・非効果的な練習|脳科学者の知見をまじえて

ここに書かれている,効果的(あるいは非効果的)な練習方法の話は,『Faster, Higher, Stronger』という本の中にも出てきていたと思います。バスケットボールにおける「Bad Pass Friday」のところで。

よく言われているのは「実践を想定しない練習は効果が薄い」ということだと思うのですが,以下の記事(というかそこで紹介されている論文の主張)によれば,たとえばゴルフにおいて特定の番手の練習をするにしても,その番手ばかり続けて打っていては脳が飽きて練習効果が薄まる,それよりは,その特定の番手を練習するにしても,前後に違う番手のクラブを打つことで,その特定の番手を打つときに脳が活性化される,それが練習効果を高める,のだそうです。

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概要
  • 普通のゴルファーであれば,練習場でウェッジから初めて,少しずつ長い番手で何球かずつ打って,そして最後にドライバー,という流れになると思う
  • そのとき,普通ならば,ある番手のクラブでナイスショットが打てたら,次の番手に移ると思う
  • それは音楽家の楽器の練習方法にも似ていて,例えばバイオリニストなら,曲の中の特定のパッセージを弾いて,そこれを完璧に弾けたと思えるまで繰り返す
  • そういった練習方法は「blocked practice schedule」と呼ばれており,わえわれの多くがさまざまなタスクを習得するときの方法だが,それは痛ましいほどに効率が悪い
  • クラリネット奏者の Dr. Christine Carter は,その論文の中で「contextual interference effect」と呼ぶものについて記述した。これについては bulletproofmusicians.com で詳しく述べられている。そこではゴルフについては述べられてはいないが,その考え方はそのままわれわれのゴルフに対する取り組み方にも応用できる。
  • Carter が書いているように,繰り返しの問題は,われわれの脳は「変化」に対してより反応するということだ。13回目の7番アイアンのショットがとても良かったとしても,実際にゴルフ場で13回連続7番アイアンを打つシチュエーションがない限り,それは応用可能ではない。
  • Carter いわく,「繰り返される情報は,新しい情報と同じようには脳で処理されない。ひっきりなしに繰り返すのは退屈であり,そうするとわたしたちの脳はエンゲージされない」
  • その代わりに Carter が主張するのは,「random practice schedule」と呼ぶもの。音楽であれば,異なるパッセージを弾きまわって,脳がつねにエンゲージされている状態。ゴルフであれば,ちがう番手を1ショットずつ打っていくこと。その目的は,特定のクラブを何度も打つことには変わりないのだが,それを続けては行なわないこと。
  • 「random practice schedules をして,他のタスクをしてから本当の目的のタスクに戻るとき,脳はこれから行なうことのアクションプランを再構築する。そして,この再構築をしている瞬間というのが,脳が最もアクティブになるとき。メンタルの活動を増やすほど,長期的にみて練習効果が高まる」
おまけ

ふと思い出した。そういえばルーク・ドナルドは,「同じ場所から何度も同じショットを打つような練習はしない。半径3フィートのリングをつかって,その中に5球入ったら,次のショットの練習に移る」と語っていたのでした。