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ボビー・ジョーンズ『ボビー・ジョーンズ ゴルフの神髄』筑摩書房

ボビー・ジョーンズ ゴルフの神髄 (ちくま文庫)

ボビー・ジョーンズ ゴルフの神髄 (ちくま文庫)

  • 作者: ボビージョーンズ,シドニーマシュー,Bobby Jones,Sidney L. Matthew,前田俊一
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2013/10/09
  • メディア: 文庫
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抜粋
  • 最高のインストラクターといえども,一回のレッスンだけではスイング全体をつくり上げることはできないばかりか,スイングを全面的に改良することさえも不可能だ。
  • アベレージ・ゴルファーは,いつも悪いスイングをしていながら直そうとはせず,さらに手に負えなくなった時にだけプロを訪ねて,30分かそこらで直してもらおうとする。
  • 前のショットを忘れて,今のショットをプレーせよという言い古された戒めは,悪いショットと同様に良いショットにもあてはまる。つまり,6のスコアと同様に3のスコアを忘れることも,同じように重要なのだ。
  • 1916年,わたしが14歳の時のイースト・レイクでのわたしのベスト・スコアは74だった。(…)結局,74のスコアの壁を打ち破るのに,丸2年かかった。もし,わたしが74というスコアを意識しなかったら,おそらく数カ月でこれを切ることができたはずである。
  • 少なくとも,悪いタイミングの原因となるごく普通の過ちについては,かなり正確に指摘できると思う。それは,ダウン・スイングで打ち急ぐことだ。
  • 強く打とうとすると,右手は本来関与すべきはるか前から,ケンカ状態になってしまう。つまり,打つ時機が来るまで,右手は抑制しておかなければならないのだ。
  • ゴルフ・ショットは,最初から最後まで,左腕によって主導されるべきであり,このことは何ら疑う余地がないことだと思う。
  • わたしは,ボールを打つ際,左手の手の平の付け根側のふくらみの部分をクラブに押し込む感覚が好きだ。
  • わたしがイギリスでもっとも好きなゴルフ・コースは,ホイレークとセント・アンドリュースの二つであり,いずれも選手権競技にきわめてうってつけだと思う。
  • ひとつ違うことと言えば,セント・アンドリュースの場合は,コースが乾燥していて,ボールの転がりが速くなるとプレーがますます難しくなるのに対して,ホイレークのほうは逆にある程度やさしくなることだ。
  • リンドバーグは,大西洋横断の際,もっとも苦しかったのは目をさましていることだったと言った。ゴルファーにとってもっとも難しいのは,“精神のうえで”常に目をさましていることである。
  • すべてのショットには,共通した基本というものがある。正しい集中力とは,これらの基本を考慮することである。たとえば,スイングの際は正しい体重移動を行い,左サイドを回し切ることが重要だ。この二点は,スイングに入る前に念頭においておかなければならないことだ。
  • 目のさめるようなすばらしい逆転劇と悲劇的な敗北のいずれも,ほとんど常に,自分と対戦相手とがそれぞれ置かれた状況から生じた共同作用の産物に他ならない。
  • 勝者と敗者が闘ったプレーをほめずに,何がなんでも敗者を非難すべきではない。なかんずく,気骨のない奴だなおと敗者を嘲笑してはいけない。
  • 冬が明けた時期にみられる過ちは常に,スイングのタイミングが速すぎることにあることを覚えておくべきだ。
  • 偉大なゴルファーのすべてが持っている資質は,“慎重にして果敢”であると言ったのは,たしかJ・H・テイラーだったと思う。
  • ゴルフは,謙虚なゲームだと言われている。にもかかわらず,驚くべきことに,多くのゴルファーは自分の弱点を知らなかったり,無謀なプレーをしている。
  • レックス・ビーチは,ユーモラスに次のように書いている。「最近,わたしはある発見をした。つまり,ゴルフを,ゲームとしてプレーするのは下手なゴルファーだけである。下手なゴルファーだけが楽しみ,満足を得,しかも,おそらくゴルフから多くのメリットを得ている。ゴルフに真剣に取り組んでいる人,いわゆる上級者にとっては,ゴルフは苦痛そのものである」
  • 「ナイス・ショットはまったくの偶然の産物であり,バッド・ショットはいい運動であるということがわかって初めて,われわれはゴルフをマスターしたと言えるのだ」
  • ドライバーの目的は,「転がり」であり,アイアンの目的は高い弾道を描いて地面に落ちたら「ただちに止まるショット」なのだ。
  • パッティングにおいて真っ先に考慮すべき点は,グリーンの傾斜とスピードにあることを示している。
  • クラブを急激に振り上げて急に振り下ろすような神経質なアプローチ・ショットを繰り出す下手なゴルファーをみた時はいつでも,もっとゆったりとスイングしさえすれば,格好もいいし,良い結果も生まれることを肝に銘ずべきだ。
  • “ステイ・ビハインド・ザ・ボール”,つまり,上体をボールの後方に残せというのは,すばらしい格言である。そうすれば,ボールをあまりにも前方に置き過ぎるようなミスを犯さずにすむという理由からではない。そうではなく,上体をボールの前方に乗り出すという過ちはきわめて見過ごされやすく,この格言を守ることでボールを右足のほうに置きすぎるような過ちをただちに感じ取れるからだ。
  • 選手にとって,カッとくるほどもっとも耳ざわりな音は,四ないし五フィートのパットがホールから飛び出してしまった時に,ギャラリーの中の100以上も叩く者がする高笑いである。
  • ゴルフの場合にも,株式市場と同様に,反動や調整局面というものがよくあり,誰もこれを避けることはできない。
  • 著名なゴルフ・コースの設計者,アリスター・マッケンジー博士は,ゴルフ・コースというものはプレーに対する興味を持続させるために,冒険(アドベンチャー)を提供しなければならない,と絶えず主張してきた。彼は,確実なことほどつまならないものはないとみなし,型にはまったゴルフ・コースが多いことを非難している。
  • マッケンジー博士は,ゴルフ・コースでのアドベンチャーとは何かを示すために,いつもセント・アンドリュースをあげる。確かにセント・アンドリュースには,コースの設計者が構想するような,ティーからグリーンまでの決まった攻め方はない。プレーヤーには,自分に合ったやり方で攻めることができるゆおに,十分な余地が与えられている。
  • もし,すべてのすばらしいスインガーを観察すれば,その確かな特徴を把握できるだろう。第一に,アドレスでは体はかなり立っており,ボールは,両手を伸ばす必要がないほど,比較的体の近くに置かれている。第二に,両足の感覚はあまりとらず,両足に根が生えてしまうような腰の低い立ち方はしない。間隔を広げすぎると,腰の動きが制限されてしまうからだ。
  • 最初の数ショットは,気楽にスイングせよ。これが,わたしの常に変わらぬアドバイスである。つまり,最初のティー・ショットでは驚異的な距離など狙おうとせず,フェアウェイにボールを置くことを考えることだ。
  • かつて,表紙に金文字で『ゴルフについてわたしが知っていること』と書かれた皮装丁の小さな本が,郵送されてきた。その本を開くと,全ベージが白紙で,まさに小型のメモ帳とでも言うべきものだった。
  • バックスイングの目的は,スイングのトップで,完全にバランスのとれたパワーあふれる姿勢を保ち,そのトップから,ダウンスイングの正しい動作が何の抵抗も矯正も受けず,リズミカルに流るようにすることにある。
  • われわれは,ドライバーであれアプローチであれ,パットであれ,すべてのショットが重要であると言わざるを得ない。つまり,ストローク・プレーでは,6で上がるためのロング・パットも,3で上がるためのパットと同じように重要であると考えるべきだ。
  • 左腕を伸ばせ,腰は平行移動させよ,バックスイングはゆっくりと行え,左手のリストはコックせよ――こういった数々のアドバイスは迷宮に入り込むと,われわれがめざしている目的が見失われかねない。これらのアドバイスは,微細なものである。こうした細部は,上級者の高度に発達したスイングの中で初めて追求すべき精巧な技と言っていい。
  • ここでわたしが言おうとしていることは,ほとんど馬鹿ばかしいほど単純なことである。しかし,それは,いまではほとんど忘れ去られている。まず第一に,クラブ・フェースがインパクトの瞬間に飛球線に対してまっすぐに,または直角にボールと当たり,クラブがこの飛球線に沿って動く時に,もっとも効率よく真っすぐなショットが生まれるということだ。
  • 現在の世界の飛ばし屋は,チャールズ・レイシー,チャーリー・ホール,シリル・トーリー,ビル・スタウト,それにフランス人のマルセル・ダルメインだ。それぞれの飛ばし屋に共通するきわだった特徴は,クラブがボールにおりてきた時のピボット,つまり腰の回転が非常に素早いことである。彼らは体のもっともパワフルな筋肉,すなわち背筋と胴体の筋肉を最大限に活用して打っている。
  • コースが状態によってやさしい時もあれば,非常に難しい時もあるのは,短所というよりも長所だと思う。なぜなら,多様なプレーが見られるからだ。どういう状態であっても常に難しいだけのコースは,紋切り型で通り一辺倒に設計,管理されている。これでは,コースとしてはまったくつまらない。不幸なことに,アメリカには,こういったゴルフ・コースが数多く存在する。
  • ほとんどのゴルファーは,上級者がアイアンで芝を削りとるショットをする様子を見ているので,このようなショットの場合は“ヒット・ダウン”するのが正しいことは,みなわかっている。しかし,この“ヒット・ダウン”に関しては,他の多くの問題と同様に,その程度がきわめて重要である。たとえ,よいことでも,大げさにやりすぎたり,強調しすぎたりすると,短所になってしまうのである。
  • もっとも傑出した二人のゴルフ・インストラクター,マクドナルド・スミスとアーネスト・ジョーンズは,彼らの教えのすべてを一つのスイング理論に集約した。つまり,“スイングすることに力点をおいて,クラブヘッドをスイングせよ”というものだ。