Linkslover

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2019 The Open プレビュー|15th Club

こないだはケプカに絞ったプレビューでしたが*1,今回は大会全体のプレビューです。

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ソース

15th Club Previews The 148th Open Championship - 15th Club by Justin Ray, 16 July 2019

拙訳

今週日曜日は,タイガー・ウッズがマスターズで勝利してから99日目にあたる。男子ゴルフのメジャーシーズンは,これにて終了。フィル・ミケルソンが優勝した2010年のマスターズから始まった,この10年代のメジャーシーズンも,これにて幕を閉じる。

Royal Portrush が全英を開催するのは68年ぶり。かつて Irish Open を2012年に一度だけ開催し,そのときは Jamie Donaldson が勝利をおさめた。しかし,多くのプレーヤーにとって,Royal Portrush は未知の領域にある。

ケプカに始まりケプカに終わる

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ケプカは今年行われたメジャー3大会で,すべて2位以上の成績。これは2005年のタイガー・ウッズ以来のことだ。ケプカが今週2位以内に入れば,それは現代ゴルフでは初めての快挙となる。

あまり知られていないことに,ケプカが大叩きをしないことがあげられる。2017年の開始以来,ケプカがダブルボギー以上を叩いたホールは全体の1.5%しかない。その間メジャーで10ラウンド以上したプレーヤーの中で,ケプカはそのスタッツで85パーセンタイルの位置にいる。

昨年夏のカーヌスティを離れて以降,4つのメジャー大会があった。そこでケプカを上回ったのはふたりだけだ。マスターズのタイガー・ウッズと全米オープンのゲーリー・ウッドランド。つまり,551のプレーヤーのうち,ケプカはその549名を上回ったか並んだことになる。

コースについて

Royal Portrush に慣れ親しんでないというのは,今週のフィールドにいる大部分のプレーヤーに共通している点だ。ヨーロピアンツアーにおけるデータから,似たようなケースを探ってみよう。

すべてのリンクスコースが同じわけではないが,あるトレンドは浮かんでくる。例えば,スクランブリングが非常に重要になる。また,ミスを避けることは,バーディーを山ほどとる以上に大事になる。

有名なプレーヤーが複数名語っているのは,今週はフェアウェイを外したときのペナルが通常以上に大きくなるだろうということだ。オーガスタではフェアウェイを外してもスコアに対するマイナスの影響は非常に小さいが,今週はそうはいかない。

マキロイの話

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マキロイは今年すでに3月の PLAYERS で勝利し,夏の Canadian Open でも優勝した。通常であればこれだけで,優勝候補の一角として話題に登るはずである。

全英オープンの直近5大会で,マキロイの通算スコアは32アンダーで,トップである。怪我のためにそのうち1大会でプレーできなかったにもかかわらず。過去10年では60台のスコアを出すこと16回で,このスタッツ2位のプレーヤーを4回上回っている。また,直近5年の全英オープンでトップ10入りを4度しているのも,マキロイだけだ。

しかし,今年はただの全英オープンではなく,彼の自国(北アイルランド)でかつて開催された中で最大のスポーツイベントである。これまで数々の大舞台を経験してきたマキロイだが,今週はどうか?

トレンドと注目のプレーヤー
  • 今年のメジャー3大会は,すべてアメリカ人が優勝した。マスターズのタイガー・ウッズ,PGAのブルックス・ケプカ,全米オープンのゲーリー・ウッドランド。これは過去20年の中でわずか2回目のことだ。直近では2015年に起こった。

  • その年のメジャーをアメリカ人が総なめにしたのは,1982年以降ない。もし今週の全英でウッズ/ケプカ/ウッドランド以外のプレーヤーが優勝したとしたら,4人の異なるアメリカ人がメジャータイトルをとるという,1976年以来のことになる。その年は,Jerry Pate/Johnny Miller/Dave Stockton/Tom Watson が優勝した。

  • それを起こす可能性があるのは,ザンダー・ショフレ。ザンダーは2017年に Erin Hills で開催された全米オープンでメジャーデビューを果たし,それ以降,10大会中5大会で6位タイ以上の成績を残している。

  • その間,ショフレ以上にトップ6以上の回数が多いのはケプカ。ショフレは昨年の Carnoustie での全英で3日目を終えて首位タイだったが,最終日は「74」で2位に終わった。

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  • Irish Open で勝利をおさめたジョン・ラームは,今週の注目株のひとりだろう。直近3大会は好調で,全米オープンで3位タイ,Andalucia Masters で2位タイ,そして Irish Open では優勝だ。その3大会ではトータル27アンダーのスコアで,平均で1ラウンドあたり「3.19」のストロークゲインドである。

  • 最近のメジャー大会でのラームは,当たり外れが大きい。直近の出場7大会では,トップ10で終わるか(4大会)予選落ちか(3大会)だ。昨年の全英では予選落ち。2日目に「78」を記録している。

  • 昨年の全英オープンで2位タイに終わったのは,ジャスティン・ローズ,マキロイ,ショフレ,そしてケビン・キズナー。準優勝した翌年に全英で優勝したのは,1978年のジャック・ニクラウスが最後。1940年以降では,1958年のピーター・トンプソンと1961年のアーノルド・パーマーだけだ。

  • タイガー・ウッズは先月の全米オープンから今回の全英オープンまで,試合に出ずに調整してきた。過去のデータによれば,タイガーに賭けるのはやめたほうがいい。全米オープン以降試合に出ずに全英で優勝したのは,1976年のジョニー・ミラー以降いない。

  • ダスティン・ジョンソンは全英におけるジンクスに勝てるか。2010年以降,初日から3日目までの通算スコアは22アンダーだが,最終日は通算20オーバーと,終盤に弱い。昨年は「76-72」で予選落ちした。

  • ゲーリー・ウッドランドはペブルビーチでの全米で勝利したが,これはランキング50位以内のプレーヤーが31大会連続してメジャーで優勝したことになった。32大会前は? 2011年のキーガン・ブラッドリー,PGAでのこと。全英では? 過去20年で50位以下のプレーヤーが優勝すること5人。4大大会の中では最も多い回数だ。

  • セルジオ・ガルシアはキャリア通算10回のトップ10入りを全英で果たしているが,優勝したことはない。過去にこれを上回るのはふたりだけ。Andrew Kirkaldy(14回)はセルジオが生まれる103年前にプロ転向し,Ben Sayers は1883年に全英オープンに初出場した。