GOLF103

道具とかスイング理論とかコース設計とか海外ツアーとか,ゴルフのいろんな側面に興味があるんですが,結局は「自分のスコアがどうしたら縮まるのか」という観点から眺めています。英語で面白い記事を見つけたら適当に訳しています。

私はタイガー・ウッズについて最大限に間違った記事を書いた,そしてインターネットはそれを決して忘れさせてくれない|Golf Digest

2015年に「タイガー・ウッズは終わった」という趣旨の記事を書いた Golf Digest の記者が,タイガーのマスターズでの優勝を受けて懺悔と自己弁護の一文を載せました。面白いので訳してみます。

が,こんな記事を訳したところで,誰の何の役に立つかまったく分からないんですけどね*1

I wrote the wrongest possible Tiger Woods take, and the Internet will never let me forget it - Golf Digest

拙訳

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それをいつどこで書いたのか,正確に覚えています。セント・アンドリュースのメディアセンターで,おそらくスコットランドの非常に味気ない食べ物を口にしながら,Golf Digest の Alex Myers の左に座り,記事を書き上げて送信ボタンを押す準備をしつつ。

私の短いキャリアの中で,たくさんの良いゴルフ旅行がありました。しかし,私はまだこの2015年の全英のときの旅がいちばん良かったと思っています。セント・アンドリュースの街について聞かされたことは,すべて本当でした。さりげなく美しくて,押しつけがましくなく堂々としている。それ探し求めなくても,迎え入れられている感覚がえられるような場所。私たち3人はコースから2マイル離れたところにある宿を AirBnB で見つけ,より高価な家を横目に毎朝コースまで歩いて行き,町の門のひとつを通ってビレッジに向かって進みました。私たちは一日中仕事をしていました。そして私たちが午後9時か10時ごろに最後の記事を提出したとき,まだ日は暮れていませんでした。なのでパブを探して,いられるだけそこにいました。その週を通じて5時間以上寝ることはありませんでしたが,その経験はとても私を活気づけて,疲れを感じることは決してありませんでした。

その週を通して,私は多くの言葉を書き連ね,グランドスラム達成をわずかなところで逃したジョーダン・スピースの物語の中で最高潮に達しました。前半のラウンドで,雨と風によってプレーが中断されたとき,私はセント・アンドリュースの環境マネージャーである James Hutchinson と午後を過ごしました。そして私は,リンクスの生態系を傷つけることなくコースを美しく保つという,彼の「知られざる戦い」についての長い記事を書きました。彼はとても親切で,その話題は私にとってとても興味深かったので,私は非常に満たされた気分になりました。しかしそれは,ゴルフ場の植物と動物に関する物語であったので,それを実際に読んだ人はほとんどいなかっただろうと思います。

人々が読んだのは,メディアセンターでとある午後に脱稿した別の話でした。それは『タイガーウッズはとにかく,完全に,明らかに,まったくもって終わった』というもので,あえて挑発的にしました。私の記憶では,彼がそのキャリアが落ち目のときに依然として大きな注目を集めていることにイライラしていましたし,私自身も若手の注目プレーヤーに関する本を書き上げたときだったので,バイアスがかかっていたのだと思います。とはいえ,その記事を読み直すと,それは明白な誇張で書かれています。大部分でそれはふざけていて,受けを狙っていて,ちょっと度を越しています。精神的な栄養でないとしたら,それは書いていて楽しかったと確信しています。単純で甘い,しかしその後すぐに吐き気がして吐き出してしまうキャンディーのように。

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その記事は間違っていたと(とことん間違っていたと)証明されました。しかしインターネットの基準では,当時は成功事例であり,そしてこんにちでも成功事例でありつづけています。昨シーズン,タイガーがツアー選手権で優勝したとき,その物語は拡散し,そしてまた今回のマスターズでの優勝パットの直後に,何十万人ものフォロワーを持つ2つのTwitterアカウント広めて炎上しました。そしてそれは伝説になりました。それはある意味,人々が愛してやまないものです。馬鹿なゴルフライターが史上最強のゴルファーを評価し,それがことごとく間違いだったことを見るのは。批判の中には気の利いたものもあれば,不可解なものもあり,そして激怒しているものもありました。タイガー・ウッズについて間違っていたために私が仕事を失うべきだと,信に願っている人たちがいます。そして,彼らにその結果をもたらすことができる魔法のボタンを渡したら,彼らはそれをぶっ叩くでしょう。彼らにとっては,私の記事の調子が「無礼」か「敬意を欠く」もので,タイガー自身が何らかのかたちで傷ついたまたは気分を害されたと暗に信じているようです。おかしな話ですが,彼らはこれが私の「誠実さ」を反映していると考え,まるでタイガーウッズについて意見を書くことは,私が個人的な恨みを抱いていて,彼を破壊しようとしたかのようです。

それはまあいいでしょう。インターネット上でものを書けば,面の皮が厚くなって悪意あるコメントも気にしないか,そうでなければフォロワーと常に喧嘩をしているウザい奴になります。それでも,何百人もからオンラインで罵声を浴びせられているときに,下腹に感じる鈍痛を避ける手立てはありません。これは生死の問題ではありませんが(返事をくれる人たちのうち,ひとりかふたりかは私をためらわせる),私は同情を望んでいないし,それに値もしません。5年後には,だれもこれを覚えていないでしょうし,人生が衝撃的にうまくいかない限りは,私はもっともっと大きな問題を抱えるでしょう……次の10分かそこらのうちに。

とは言うものの,自己弁護をしますと,はい,私はタイガーについて非常に間違っていました。しかし,これは面白さを狙ったものでした。スポーツについて記事を書く者,特にインターネット上で記事を書く者は,多くのコンテンツを生み出し,そしてそのコンテンツは,他のコンテンツと同じように,視聴者を引き付けるようにデザインされています。 スポーツに関する編集記事は,会話っぽさを感じるときが最高であり,会話の一部は,早口で,適当で,あるいはまったく間違った意見を寄せ集めているだけです。あなたが友人が2016年のある晩にチャットをしていて,あなたの友人がタイガーは終わったなどと言ったら,あなたはその友人を呼びつけて罵声を浴びせるでしょうか?

あなたはそうするかもしれませんね。しかし,あなたがこの件で本当に怒り心頭に発していたら,あなたは真剣に受け止めすぎていて,インターネットスポーツ記事のオピニオン面が何のためにあるのか理解していないし,この記事がタイガー・ウッズに与える影響について大いなる過大評価をしています。この段落を含めて,インターネット上で記事を読むべきではありません……。

いつか,タイムマシンを発明して,私たちは2000年に戻ることができるかもしれません。そこに着いたとき,タイガーウッズは終わっていません。おそらく私たちが死んだら,何らかの力で蘇生し,タイガー・ウッズが終わっていない短い時代を過ごすことになるでしょう。もかしたら将来,人生は夢かシミュレーションであって,タイガー・ウッズも真に存在せず,あなたと私と今読んでいるこの言葉も存在したいものだと,知るときがくるかもしれません。そうだとしたら,タイガーは終わっていないし,再び終わることもないでしょう。しかしこれらの何かが起こるまでは,タイガー・ウッズは終わったままです。

……そしてどうか怒りに身を任せ,4年後もそのまま顔を真っ赤にしていてください。タイガーの代わりになって戦う必要はありません。彼はそんなことを気にしないことは,私が請け合います。2015年に彼の墓の上で未熟なダンスを踊っていたことをタイガーは気にしませんでしたし,今日の彼の勝利で,彼の終焉について大げさに誇張された噂を広める Golf Digest のブログ野郎のことは,彼にとって完全にどうでもよくなりましたから。

なので,とにかく,黙ってください。*2

さて,とは言うものの……,私はタイガーウッズについて間違っていました。当時間違っていて,今間違っていて,永遠に間違っています。とてつもなく,悲惨なほどに間違っています。タイガー・ウッズは私を打ちのめし,私は謙虚になり,そして私が私の編集者からインターネットの鍵を盗みそして地球上からそれを削除するその祝福された日まで,私の屈辱はインターネットに塗りつけられます。私を笑い,指差し,そして楽しんでください*3。私はここに座ってそれを受け止めます。私はだいたい大丈夫です。

*1:真面目な話をするならば,まともな懺悔の一文のように見えて,ヒートアップしすぎている人たちを軽く馬鹿にし,反省と謝罪をしつつもそのレトリックでこれ自体を面白い記事に仕立て上げようとしているという,欧米人の精神構造と文章力が見えるという点で,面白いものではあります。

*2:原文は「So calm the **** down.」

*3:なんとなくこのへん,イエス・キリストに自分を重ね合わせてる感がしなくもない。