Linkslover

I want to be a window through which Japanese golfers can see what’s happening outside. TPI G2/P2.

「インパクトで左手を減速」という主張はどこまでアレなんですかね

グダグダした考察です。

kkのブログ記事(【4】 大(重)→小(軽)でパワーをスピードに変換する - ヘッドスピード向上委員会)についたコメントで「インパクトで左腕を減速すると、ヘッドが走るよ、テコの原理で!」というのがありました。そもそもそれは「テコ」というより「二重振り子」なんじゃないかと思うのですが,それはさておき,「手元が減速」というフレーズはマーク金井の言ってることでもよく目にするのですが(例えば,シャフトのしなり戻りをマスターする極意とは!? | マーク金井ブログ),それってどうなのかなーと,いつも思うんですよね。

理由は3つあって,どれもリンクしていると思うのですが,

1. それは結果的に起こる現象じゃないのか

これは形や数字だけ見ているときに起こる危険であって,「データ見たらインパクト付近で手元が減速してました,だから,スイングではインパクト付近で手元を減速させましょう」という主張ですね。その現象と主張を「だから」で結びつけるのは必ずしも正しくなくて,もしかしたら体の他の箇所で起こっている動きが,結果的に「インパクト付近で手元を減速させている(ように見える)」だけなのかもしれない。

2. 手元を減速するとフリップしやすい

じゃあ実際に「手元を減速」させるとどうなるかというと(特に左手),僕の場合は,フリップする。右手で感じていたクラブヘッドの感覚とかがふっとんで,インパクト前後でフェースが急激に返る感じ。

なので,どうしようなくフェースが返せない人にはこのアドバイスは(フェースローテーションという観点のみにおいては)ハマるのかもしれませんが,少なくとも僕にとっては助けにならない。ということで,「左手を減速させる」というアドバイスは少なくとも万能ではない。

3. エネルギーは「出す」方向で使いたい(「止める」じゃなくて)

常盤さんのブログでも「エネルギーの流れを意識しながら積極的に動いていった方が、本質的にいい形におさまり、かつ躍動感のあるスイングに辿り着けると思います」というコメントがあったのですが(日帰りセッション | TPIゴルフトレーナーのツアープレーヤー育成ブログ),エネルギーはやっぱり出していきたいし,動いていきたい。もちろん「減速する」というのも「エネルギー」だし「動き」ではあるんですが,そういうマイナスのベクトルじゃなくて,プラスのベクトルで。

で,これは人それぞれだと思うんですが,僕が意識しているのは,左手はあくまで「上体との距離感を保つ」という方向性であって,インパクトにおいてはあくまで右腕のリリースが大事だと思っています(リリースについて(必読!!) (1)|高野裕正 ゴルフトレーナー、スイングコーチのブログ ~~クラブと身体からスイング運動を掘り下げる~~)。インパクトに向かって,それまでの動きの連動で蓄えられたエネルギーが,右腕からクラブヘッドにまさに「解放」される。ボールに向かってドーンとぶつかる。あえてオノマトペですが,この「ドーン」が大事だと思っています。そこに,左手の操作が入る余地はない。

で,いわゆる「グラビティプレーン」によってヘッドの重心を意識しながら右腕をリリースすると(見つかった!最強の練習法 - Linkslover),結果的に「右手が左手を追い越す」ことにならないですかね? それって結果的に,「左手が減速」という現象につながると思うんですが。

ということで

まぁ結論としては,「左手を減速」でうまくいく人はそれでいいと思うんですが,そのフレーズは万能ではないし,何の疑いもなくそう主張するのってアレじゃないですか,とういことです。

2018/1/29 補足

右手のリリースとタイミングを合わせて左手をギュッと握るとヘッドが加速することが,素振りの結果わかりました。現象として「左手は減速」しているのかもしれませんが,「減速させよう!」という意思のもとにさせているわけではありません。