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タイガ・ウッズがクラブテストやテーラーメイドについて大いに語る

PGATour.comに,タイガー・ウッズの単独インタビューの記事が載っていました。タイトルは「Trust your hands(自分の手を信じる)」。メイントピックは「クラブのテスト」。ポイントをかいつまんでみます。

テストのプロセス

1996年にプロになって以来,テストのプロセスはどう変わったか?

「最初のころはカチャカチャやアジャスタブルウェイトなんてなかった。時代が変わって,いまはTrackManのおかげでテストも練習も効率的になった。その流れには逆らえない。自分にとっては,フィーリングを確認する作業。いいフィーリングでショットが打てたときに,数字を確認する。ときにエンジニアたちはプレーヤーたちのフィーリングや言ってることを信じないことがあるけれど,数字にははっきりと現れる」

クラブテストに向けた準備

「クラブは必ずテストするし,そこに問題を感じたことはなかったけれど,テストするときは必ず,自分が調子がいいときにやる。調子が悪いときにテストすると,応急処置をするようなテストを求めることになるし,調子が戻ったときに何が実際に起こるか分からないから。だいたい,テストの前には2・3日の練習セッションをとる」

クラブを変えるかどうかの決断

「何よりも,今よりもいい結果がでなければいけない。そして,レンジで打っていい結果が出るだけでなく,コースに出て,何度も何度もショットを打ってみる。特定のショット,バンカーだったり,池があったり,風があったり,本番で直面するようなショットを,何日も何日も何日も打ってみる。『このクラブはいいね』とピンとくる魔法のような1日なんてなくて,『今のはよかった,でも風が違ってたらどうなるか,ちょっと試してみよう』ということを繰り返す」 「過去何年も実際にやってきたことのひとつは,今使っているクラブよりもいいものでプレーしたいというアツい気持ちをもつことだし,今まで一緒にやってきクラブメーカーはみんなそれを理解していた。そのために最大の努力を払ってきたけれど,ちょっと時間がかかるプロセスだ」

レンジからコースに至るテストのプロセス

「何よりも,構えたときによく見えなければいけない。じゃなかったら,見たくないようなものをずっと見ることになるし,そんな状態でどうしてもっとも美しいショットが打てると思う? それが一次選考。次に,ワッグルしたときにどんな感じか。クラブに触るのは手だけだし,自分の手の感覚を信じるように鍛えられてきた。なので,ワッグルすると,いい感じだとか,ちょっとトウが重いぞとか,重心が後ろすぎるな,なんてことが感じとれる。で,レンジでショットを打ってみて,いいショットを打ったり,ちょっと調整を加えたりする。で,その日のうちとか次の日に,コースに出て打ってみる」

ショット前のワッグルについて

「父が,自分手を信じることを強調してたし,手の感覚でゴルフスイングをつくることを信じてた。だから自分もずっとそれをやってきたし,覚えている限りでは,つねにクラブをワッグルしてその感覚をつかもうとしてきた」 「ぶっちゃけて言うと,今の方がクラブを感じるのが簡単。昔はみんな同じようなサイズだったし,重量配分なんてのも多くはなかった。いつも比較の基準点を持つようにしているけど,それというのは今バッグに入れて使っているクラブなんだ」

TrackManの数値をどれぐらい重要視するか

「たぶん8:2。8割はフィーリングと実際に打ったショットで,2割がTrackManの数字。数字を見るのはいいことだし,スイングの軌道については何度も見る。軌道の影響,あとは飛んだときにスピン量がどうなっているか,そこを注視する。あとはウェッジショットでも,TrackManを活用している」

ドライバーショットの調整

「完璧である必要はなくて,なぜならすべてのショットが完璧なわけではないから。でもひとたびコースに出たら,いくつかミスショットをしてみて,それがどういう傾向か,特にプレッシャーのかかる状態でどうなるか,というのを見たい。ローフェードを打ちたいときに,ミスするときは必ずヒール側。なので,ちょっとヒール側で打ったときにどうなるかということを確認したい」

新しいクラブと新しいボールとの相性

「ボールが第一だし,いちばん大事。グリーンから始めて,だんだん距離を伸ばす。多くのボールはとっても硬いけど,自分はソフトでスピンがかかるのが好き。アイアンは変わってないので,変わったのはウッドだけ。スイングスピードはかなり落ちたので,よりロフトのついたクラブをみてるし,シャフトの助けを借りるようにしている。かなり不満ではあるけれど,ただこれが現実」

アイアンの打音と打感の重要性

「打感については,間違いなく重要。ターフを抜けるときの感触,それがフィードバック。それが手に伝わって前腕に伝わって,何が起こっているかを感じ取れる。最近のアイアンの新しい技術にいは耐えられない人間のひとり。ショットなりの距離で飛んでほしい。それだけ。最悪なのは,ミスヒットしても距離が出るやつ。グリーン手前からなら寄せワンがとれるけど,奥からは無理。だからミスショットして5ヤードショートするっていうのは,ぜんぜん問題ない。飛距離が出すぎるのが問題」

クラブについて

テーラーメイドのM3/M4についての第一印象

「最初にツイストフェースを紹介されてそれを見たときは,変だと思った。ポテトチップみたいだって。でも構えてみたら気にならないし,湾曲は微妙。当然,見せてもらったモックアップは,湾曲が強調されたものだった。で,それでヒール側でミスヒットしてみた。自分らの世代が,バラタボールとパーシモンで育った最後の世代だと思うけど,ミスするならヒール側で,カットを打って球を上げるように教えられた。パーシモンでフックを打つとひどいことになるからね」 「ツイストフェースだと,ヒール側でミスヒットしても,以前ほどひどいことにはならない。なのでそれは自分にとっては嬉しいけれど,だけどまたレンジでテストして,コースに持っていっていろいろ試したい」

テーラーメイドのプロトタイプ6番アイアンへのデザインフィードバック

「ブレードアイアンに関してはとてもシンプルで,ちょっと長さが欲しい。16歳のときからブレードでプレーしているから,伝統的に長いサイズのブレードが好きだった。Hogan の PC や Apex みたいなちょっと小さいサイズのではなくて。イアン・ベイカー=フィンチやデイビッド・グラハムが使っていた古い Daiwa Advisors でプレーしていたので,ちょっと長いヘッドが好きなんだ。それと,トップラインがちょっと薄いのが好き。でも,テーラーメイドのスタッフに言ったんだけど,バックフェースに猿のスタンプがあろうが何があろうが気にしないよ,と。構えたときによく見えればそれでいい」

可変ホーゼルへの移行

「最初は不満だったけど,だんだんすごくいいと思えてきた。というのは,昔はクラブをテストするときに,そう多くの違うものを試すこともできなかったけど,今なら簡単にできるようになった。同時に,道具に対する知識欲がどんどん湧いてきて,いろいろ学ぶようになったし,学べば学ぶほど,現象を深く理解できるようになって,クラブに何を求めるかといった会話に,深く関われるようになった。Hero World Challenge でいいドライバーショットが打てたり,3番ウッドでも2番アイアンでもいいショットが打てたのは,クラブのことがようやく理解できたから」

クラブセッティング

「60年代かってぐらいの古いセッティングだけど,ひとつ奇妙なのは60度が入ってること。60度のウェッジを持ち始めたのは高校時代の後半で,それまでは56度で開いたりしてどんなショットでも打っていた。そのころは1番アイアンとか2番アイアンとかあったね。PWは50度で,9番アイアンは45.5度。いまは45度とか44度とかのPWを持ってるやつらがいるけど,そのウェッジ4本体制はまったく理解できないね。バハマでは,残り89ヤードとか95ヤードとかをPWで打った。自分にはそれができるし,さらにはソフトでスピンのかかるボールを使っているから,そういう短いショットは得意なんだ」

ナイキからテーラーメイドに移行したときのシャフト長とスペックの変化

「45インチとか44.75インチだったのが,44.5インチまで短くした。短くして距離が伸びた。というのも,自分は43.5インチでずっとプレーしていていまだにそれに慣れているので,45インチにしちゃうと,窮屈に感じる。44.5インチにして感じがだいぶよくなって,44.25インチだとさらにいい感じになるけど,ちょっと距離が失われる。なので,今は44.5インチにしてる。 「3番ウッドは純正の長さで変わらない。ロフトは15度。20歳のときから,3番ウッドは14.5度か15度。アイアンは16歳のときからスペックが変わらない。コーチによってライがアップライトになったりフラットになったりしたけど,ライ角は基本的に同じ」

ウェッジのグラインド

「バウンスは基本的にリーディングエッジ側に寄っている。ソールの幅は標準的だけど,普通のよりはラウンドさせている。というのも,打ちたいショットに応じてバウンスのいろんなパートを使いたいから。でも,基本的にはこの15年ぐらい変わっていない」

チームTaylorMade

ナイキ撤退後

「フリーエージェントになるところだったけれど,多くのクラブメーカーがクラブを送ってくれて,倉庫がそれでいっぱいになった。これはどう見える? あれはどう見える? ちょっと絞らせてくれ。それでシミュレーターでテストをして,どんな感じか試してみた。これはよくないね,これはいいね。テーラーメイドのは,全体的に感触がよかった。で,外で打ってどうなるかを見てみたかった。で,クラブの安定感と飛距離性能に驚いたよ」

テーラーメイド

「忘れないでほしいのは,自分はアマチュアのときにテーラーメイドを使っていたし,なによりも,親友のマーク・オメーラ,彼はずっとテーラーメイドなんだ。なので,Burner Plus から Bubble シャフトまで,テーラーメイドから出たものは知っていたし,98年にメジャーをふたつ獲った。テーラーメイドのクオリティは知っていたけど,でも自分はナイキで勝って,そのビジネスに注力してた。今はテーラーメイドに全力を注いでいる」

ナイキでもタイガーのチームの一員であったクラブビルダー,マイク・テイラーの重要性

「彼は最高。彼はベン・ホーガンで鍛えられた。削りのスキルも唯一だし,好みを伝えればその通りに作ってくれる。僕らのコミュニケーションはただただ素晴らしい」

他のテーラーメイドプレーヤーからのフィードバック

「ロリーとかジェイソンとかダスティンとかジャスティンとか,今では多くのテーラーメイドプレーヤーと意見交換してる。彼らの方がテーラーメイド歴が長いから,いろいろと教わっている。一緒の大会に出て,彼らのショットを見て,いろいろ観察して,それでいろいろなことが分かる。テレビで観ることはしないかな」 「奴らと話すのはとってもいい。特に,なんでそのクラブを使っているかについて。DJは4番ウッドを使ってるけど,ある日『それでどれぐらい打つの?17度でしょ』って聞いたら,『うーん,280とか285とかかな。15度にしたら,290とか300とか,ちょっと飛びすぎちゃうんだ』って。『OK,わかった,もういいい,やめて』。それ以上は訊かなかったよ(笑)」

テーラーメイドのツアーレップ,Keith Sbarbaro

「そんなに多くはやりとりしてないけど,彼はDJと働いてたし,練習ラウンドにもつきあって,何回かはDJのキャディをした。さらにはジェイソン・デイとも働いてたね。ジェイソンの知恵はいつも拝借してて,クラブとかショットとかいろんなことを訊いてるんだ。なのでKeithのことは知ってたし,プレーヤーに対して何をしてきたかも知ってた。彼は才能があるし,自分のしてることをよく知ってる。言い方がとても直裁的で,そのクラブはあなたに合ってるとか合ってないとか,スパッと言ってくれる。その打ち方はよくないとかもね。そういう人間が,チームには必要」

道具の規制について

規制団体がないとどうなるか

「うーん,ドライバーを14本バッグに入れることになるだろうね。壊しても替えがある」

ボールに関するスタンス

「プロとアマチュアとで分けて考える必要があると思う。以上。アマチュアに対しては,規制を取り払って,より飛んでより曲がらないボールでゴルフの楽しさを味わってもらって,よりゴルフ人口を増やす必要があると思う」

ソース

'Trust your hands' - PGATour.com, by Johanthan Wall, 23 January 2018
https://www.pgatour.com/long-form/2018/01/23/tiger-woods-equipment-taylormade-testing-q-and-a.html