イングランドの南海岸,East SussexにあるリンクスコースのRye Golf Club。非常にExclusiveなコースなのでプレーするのは難しいかなとずっと思っていたのですが,丁寧なメールを書いてお願いしてみたら,平日ならビジターでもプレーできるよ,とのこと。セクレタリーの方が代わられてから,少しずつオープンなコースにされてつつある,という話をききました。
Welcome to Rye Golf Club : Rye Golf Club in East Sussex
開設は1894年。OxfordとCambridgeのGolfing Societyによる年1回の対戦「President's Putter」が開催されるのも,このRye Golf Clubです。毎年1月に行なわれるので,雪の中でプレーされたこともあるのだとか。
「Member's Only」です,本当は。
Tom Doak "The Confidential Guide" では,このRyeは18個ある「The Gourmet's Choice」のひとつに選ばれています。そこでのコメントによると,このコースは確かにハリー・コルトによって設計されたのですが,当時のコルトはまだ職業としての設計家を始める前,つまり弁護士の趣味として行なわれたようです。
そのコルト,初代1894年のキャプテンだったらしいですね。
もうひとつ "The Confidential Guide" に興味深いことが書かれていました。今のコースがあるエリアというのは,その大半がもともとは海であって,たとえば現在海岸から300メートルほど離れている13番ホールのグリーンも,1894年当時は海だったというのですね。結局,海(Rye Harbour)から砂が絶え間なく海岸に打ち寄せられるために,どんどん海岸線が後退していったようなのです。
さて,ティーオフ。コースは,9番を終えていちどクラブハウスに戻ってくる,ふたつのループになっています。
1番から3番までは,左手の道路に沿って進むかたち。最初はパー5。緊張感をときほぐす,ジェントルなホールです。
2番パー3。中央がグリーン。微妙なアンジュレーションの中にあります。右手前に見えるのは4番ホールのグリーン。
4番で折り返し。それまでの3ホールの右手にあった狭いリッジの上を進んでいきます。方向性重視で,ティーショットも2打目も5番ウッド。なんとかパー奪取。
5番パー3は,そのリッジの上のティーから,別のリッジの上にあるグリーンに。
6番パー4でまた斜め後ろに方向を変えます。ティーショットはリッジ越え,ランディングエリアはブラインド。なのでキャディが打つべき方向に立ってくれています。
その6番のリッジ上から,フェアウェイを見下ろしたところ。グリーンは左手奥の方向にあります。
レーキは地面に垂直に立てておくのがRye流。
7番パー3。絵画のような光景です。ティーショットはグリーン左のスロープ下に外したものの,そこからバンプアンドランが決まって寄せワンのパー。
8番は右ドッグレッグのパー4。ティーショットが右ラフにいったものの,キャディの指示通りに2打目が打てて,ここもパー。
9番パー4。右手にリッジを見ながら,クラブハウスに戻っていきます。
さてここまで,自己ベストを狙えるんじゃないかというほどの,前半の出来でした。
10番,今度は道路を右手に見ながらのティーショット。前半の結果でメンタルが乱れ,ティーショットはみごとに左OBへ。魔法が解けました。
11番,池越えのティーショット。ウォーターハザードがからむのは,ここだけです。
シンプルでストレートな12番のあと,この13番はホールをリッジが分断。これが2打目で,グリーンはどこにあるのかすら分かりません。
そのリッジの上からグリーンを眺めたところ。これ,キャディがいないと無理です…。
14番パー3。この左の傾斜を利用して,うまいことグリーンをとらえました。それを見てキャディがひとこと,「お前,ここのメンバーか?!」。最高の褒め言葉です。
15番,リッジの谷間を進んでいくパー4。こういったアンジュレーションも,昔からあるんでしょうね。
16番,またリッジでティーショットのランディングエリアが見えないかたちのパー4。このバンカーに,測ったように入れました。
17番パー3はプレーンな印象。
18番パー4。さりげないですが,こういったアンジュレーションが生む美しさ,大好きです。
おまけ
歴史あるクラブゆえ,クラブハウスの中も魅力的でした。
いろんな名物ホールを描いたこのイラスト,たまに見かけるんですが,出典はどこなんでしょう。
1934年のシガレットカード,3 JOVIAL GOLFERS,だとか。
友人の家に遊びきたかのような,やさしい空気感。
日本ゴルフ教会70年史もありました
1960年のPresident's Putterにおける6番ホール,だそうです。
ラウンドを終わってクラブハウスの中を見学していたら,クラブの人がわざわざ挨拶に来てくれました。プライベートでお高くとまったクラブだと思っていたのですが,ホスピタリティの高さに感動しました!
4 March 2016