Linkslover

I want to be a window through which Japanese golfers can see what’s happening outside. TPI G2/P2.

イギリスゴルフ #36|スコットランド遠征|St Andrews Links - Old Course|ゴルフの聖地にやってきた

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ゴルフの聖地。ティータイムを予約したのが昨年10月で,それから5ヵ月待って,ようやくセントアンドリュースでのラウンドが実現しました。

St Andrews Links には Old Course を含めて全部で7つのコースがあります。Old Course 以外は直前でティータイムが予約できますが,Old Course は需要が多いので事前に申し込んで抽選で当選するのを願うというかたち。ただ,11月から翌3月までのローシーズンは多少余裕があるので,空き枠のある日にちに申し込めばプレーはできるんだと思います。それでも時間までは選べず,割り振られたのが7時40分というティータイムでした。

St Andrews Links は,エディンバラの北東に位置し,空港からはクルマで1時間から1時間半ぐらいの距離にあります。ここだけに限りませんが,スコットランドのカントリーサイドは風景がキレイなので,ドライブしていて気持ちがいいです。そんな風にクルマに乗って,18番ホールのグリーン近くにあるホテルに着いたのが前日夜。ライトアップされたR&Aのクラブハウスを見るのもオツでした。

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さて,ラウンド当日。2ボールで予約していたのですが,スタート前にコースの人に「もう2人加えて4ボールでラウンドしてもらってもいいですか?」と訊かれました。これは完全にオプションなので断っても全然かまわない,とも言われました。

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左が,スタート前の待合室のような場所。トレイもある。

僕についてくれたキャディはわりと若めに見えたけれど,Kingsbarnsでキャディを9年やったあと,St Andrews では5年目だということでした。口数が多いわけではないですが,要所要所で必要な情報をしっかり伝えてくれます。グリーンでラインを読むときは,「僕ならxxxを狙って打つよ」と毎回言っていました。「パッティングはとにかくスピード(距離感)がまずは大事で,スピードが合っていれば3パットはしないよね。でも毎回違うコースでやっていたらそれも難しいだろうけど」とも言っていました。好きなプレーヤーは,「どういうわけか,リー・ウェストウッド」。

前の組は日本人らしき若い男性2人組だったのですが,キャディをつけずバックティーからプレーしていたので,もうここで何度もやっているのかもしれません。そのうちの一人はオレンジのニット帽から長髪が伸びてヒゲを生やしと,なんともリッキー・ファウラー風。次第にキャディも「ピンとリッキーのあいだを狙って打て」などと指示を出すようになりました。たしかに遠くからでもオレンジは目立つのと,そのリッキーがまた毎回ちょうどいいところに立っているのです。

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ところで,ウィンターシーズンは芝生の保護のため,フェアウェイからのショットはマットを敷いてそこにボールをプレースしてのショットになります。そして今年は夏に全英オープンが開催されるので,その準備のためにグリーンの多くがGURになっていました。できるだけ壁を傷つけないようにということだそうです。そしてラフの部分もGUR扱いにして,大会までに草を伸ばすとのことでした。ちなみに,フェアウェイの芝とラフの芝はまったく同じで,刈ればフェアウェイ,伸ばせばそのままラフになるんだそうです。

以下は印象に残ったホールについて。ほぼすべてのホールがそうではありますが。そして,先回って書くと,天気が穏やかでありさえすれば,ボギープレーヤーが(やるべきことをしっかりやれば)多くのホールでボギーを取るのは難しくはないと思うのですが,罠にハマるとか,やれることよりやりたいことを優先すると,大きくスコアを崩してしまうのが,このコースの難しいところだと思います。僕がラウンドした日はクラブでいうと1番手から2番手ぐらいの風の強さ(基本的にはアウトで向かい風,インで追い風)でしたが,もっと強い風だと難易度が格段に増すんでしょうね。

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1番のティーショットはさほど緊張せずに打てました。1番は左の18番とフェアウェイを共有しているので,左が広く使えるから,左を向いて打ちさえすればスライサーでも間違いなくフェアウェイをとらえられるからです。フェアウェイを共有しているのは1番と18番に限らないのですが,ということで,この日の数字上のフェアウェイキープ率は68.8%。2打目はしょぼいトップ球だったものの3打目クリーク越えのウェッジショットをしっかり打てて,2パットでパー。

2番ホールのティーショットを打ち終えてフェアウェイを歩いて感じたのは,フェアウェイのうねりが思ったより大きいということでした。WGTのゲームをやりこんでいたので把握はしていたのですが,特にグリーンのうねりが想像以上でした。2打目は24度ハイブリッドのショットをフェードで打って距離がピッタリだったのに,そこから3パットして惜しくもボギー。

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2番のグリーンを右から。

3番はフェアウェイ右のバンカーに入るものの,さくっと1回で出して,2パットのボギー。ここはティーからの光景がやはり想像以上で,モワモワっとしたラフを越えてフェアウェイを狙っていくのは,これぞリンクスゴルフという気が個人的にはしています。ラフが景観を作るというのはイギリスのゴルフ場にはよくあって,このへんは,ティー前にウォーターハザードを置きがちな日本のコース設計とはぜんぜん違うものがあります。

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左手前がゴースです。

4番はティーショットがミスでラフ,そこからの2打目が引っかかってフェアウェイ左のSutherlandバンカーに入り,なんとここから出すのに5打もかかってしまったという失態。『風の大地』の河内じゃないですが,こういうときってほんとに頭の中が真っ白になりますね。

5番は最初のパー5。ここも1打目の落とし所は広いので,キャディの指示に従って打てば問題ないですが,2打目のランディングエリアにバンカー,その先のグリーン手前がスウェイルになっているので,これをどうするんだって話になりますね。グリーンはバカでかくて奥行きが50ヤードとかあるから,アプローチショットは高い球でしっかり止めたいところです。

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7番はウィンターシーズンということもあってティーがだいぶ前に出されていました。これで難易度もぐっと下がっていると思います。巨大はShellバンカーが印象的で,ここに入れないようなティーショットでの番手の選択が大事なのでしょう。この日は向かい風もあって「190ヤードのクラブで」というのがキャディの指示でした。普通のレギュラーティーならこのバンカーまで284ヤードなので,かなりティーが前に出ていたことになります。あと,ここは11番とグリーンを共用している上にプレーラインが交差しているので,キャディがいないと気をつけないといけないですね。

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7番のShellバンカー。

8番は最初のパー3。グリーン左手前のバンカーはなんてことのない印象をゲームで持っていましたが,実際にはけっこうアゴが高いので,これも右から安全にいくのが無難。ここで進行方向が変わるので,7番まで向かい風だったものがここでは追い風に変わりました。

9番はショートパー4。追い風なら1オンも可能で,飛距離のない僕もいちばんの当たりのティーショットでグリーン手前までボールを運べました。しかしここから寄らず入らず3パットのボギーとは,なんとも情けない。

ハーフが終わったところでトイレに行って飲み物を買って,折り返し。イギリスのコースは途中でトイレのないところが多いので,さすが St Andrews は観光地化されていると思いました。

10番は,9番の人たちを右手に見ながらのプレー。9番と10番はこのコースで唯一右に外していいホールになるので,スライサーも安心。

11番パー3。手前にちょこんとあるStrathバンカーが難しくしているのはもちろんのこと,グリーン奥の傾斜が急で窪みも深く,これも風とピン位置によっては2ショットでグリーンを狙った方が結果的にはいいのではないか思います。キャディも「ここは“世界でいちばん短いパー5ホール”って言われているよ」と教えてくれました。

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折り返すと遠くにセントアンドリュースの街が見える。

12番パー4は,フェアウェイ途中にあるバンカーがティーショットの狙いを難しくしています。「ゲームだと飛距離のコントロールは簡単なんだけどね」とキャディと話しましたが……。ここはグリーンも厳しくて,手前と奥とに大きな傾斜があるので実質的なタテの幅はとても狭いです。距離の短いパー4ではありますが,ピンのある段にアプローチが打てないとパーもおぼつかない。僕は手前下の段から最初のパットを打ちすぎて奥の傾斜を転がり落ち,けっきょく4パットしました。恐ろしや……。(というか下手なだけ)

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12番のバンカーだったかな。

13番パー4もティーショットの落とし所が狭いのでゲームをやっているといちばん難しく感じるのですが,実際にはボギーなら取れますよ,っていうホールですね。ストロークインデックスは11。

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13番のグリーン手前から。iPadのゲームやってると,このラフがクセモノ。

14番パー5がストロークインデックス1で,これはまずティーショットがしょぼいと2打目がレイアップになる上にアプローチショットが160ヤード以上残り,ティーショットがよくても2打目でミスするとHellバンカーの餌食になるという。これも追い風だったから良かったものの,向かい風だとそうとう精神的につらいだろうなぁと思います。ちなみに HellバンカーはGURでした。

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Hellバンカー。

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こんな感じでGURのバンカーが多かったです。

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16番のグリーン。

17番は有名なホテル越えのティーショットになりますが,レギュラーティーからは距離的にはさほど気にならないと思います。その日のショットの調子に合わせて無理せず方向どりさえすれば,ティーショットで死ぬことはないかと。有名なRoadバンカー(あるいはトミーズ・バンカー)は,2打目付近からはそれほど目に入らないのが逆に怖いですね。とりあえず右手前から安全に攻めていけば,ボギーはしょうがなくとも大怪我にはならないんじゃないかと思います。これまたキャディが「トーナメントになると最終日はだいたいホールロケーションは左奥になるよ」と言っていました。

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17番のティーショット……

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……が見事にホテルに入る。

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Roadバンカー。

18番もなんてことないつくりですけれど,グリーンに近づくにつれて難しさが増します。「死の谷」の深さも想像以上ですし,グリーンの奥と右は狭いので,ホールロケーションと風によってはかなり難しくなるんだろうなと想像できます。

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18番の「死の谷」とR&Aクラブハウス。

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ラウンド終了直後にはこんな好天に。

ラウンド終了後は,憧れのコースでプレーできた満足感でいっぱいだったけれど,こうして振り返ってみると,このコースの面白さが改めて分かるとともに,もういちど挑戦したいという気持ちになります。

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スコアカード。

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オールドコースのルーティング。

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赤ティからだとパー76。

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5番のグリーン奥行きが85ヤードって。

おまけ

最後に,オールドコースでのラウンドに備えて読んだ本を,改めてリストアップします。

An American Caddie in St. Andrews: Growing Up, Girls, and Looping on the Old Course (English Edition)

An American Caddie in St. Andrews: Growing Up, Girls, and Looping on the Old Course (English Edition)

アメリカ人の大学生がオールドコースのキャディとして働いた話。彼の地のキャディの生態や思考がよく分かります。

St. Andrews: How to Play the Old Course

St. Andrews: How to Play the Old Course

コース設計界の奇才デズモンド・ミュアヘッドと彼の地のベテランキャディが,オールドコースの戦略方法とエピソードをホールごとに語りつくします。

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リンクスコースを紹介するエッセイ&写真集。セントアンドリュースには1章がまるまる割かれています。

23 March 2015