スイングプレーンに関して,シングルプレーンがいいとかダブルがいいとか,あるいはトップの位置はマット・クーチャーみたいなのがいいとかジム・フューリックみたいなのがいい(という人はあまりいないだろうけど)とか,諸説ある中で,この記事が主張しているのは「スイングプレーンっていうのは,個々のゴルファーのバイオメカニクス,体のつくりで違ってくるんだよ」ということです。
筆者は Michael Wheeler。この記事の執筆内容はすべて科学あるいはゴルフバイオメカニクスによって証明されていることであり,Mike Adams and E.A. Tischler によって開発された BioSwing Dynamics からの直接の引用とのこと。また,筆者はBioSwing Dynamics certification の取得にあたり,このふたりをメンターとしたそうです。
ソース
Biomechanics and their affect on swing plane – GolfWRX by Michael Wheeler, 22 April 2014
拙訳
ゴルファーはそれぞれに異なり,それぞれ違うバイオメカニクス,違う体のつくりをしている。それは多くの科学者やバイオメカニストたちのあいだでは広く長い間知られている事実だが,多くのゴルフのプロは依然として受け入れない事実でもある。
この業界には多くの教え方,あるいは教えるスタイルがあり,その幅は限りない。例えば,スタック&ティルト対ジミー・バラード,ショーン・フォーリー対ハンク・ヘイニー,などなど。これら偉大なインストラクターが間違っているなどとは決していわないが,問題は,ある方法がすべての人に向いているとは限らないことだ。個々のバイオメカニクスの違いがこの記事のテーマであり,細かく言えば,バイオメカニクスの違いがスイングプレーンにいかに影響するか,ということにある。
3つの異なるトップ・オブ・バックスイング・プレーンががあり,3つの異なるダウンスイング・プレーンがある。トップ・オブ・ザ・バックスイングでゴルファーがとりうるポジションとしては,左腕が肩のラインより上(high-plane),肩のライン上(mid-plane),そして肩のラインより下(low-plan)の3つがある。上にある,マット・クーチャー,タイガー・ウッズ・ジム・フューリックの写真が,このことを示している。ダウンスイングのときに,ゴルファーがとりうるプレーンとしては,ヒップ・プレーン(シャフト・プレーンとも),トルソー・プレーン,ショルダー・プレーンの3つがある。
バックスイング・プレーンとダウンスイング・プレーンは,この記事で後に紹介するふたつのテストに基づいて決まりうる。私はまた,PGAツアープレーヤーを例にとる。教え方に異なる方法があるように,ゴルファーの「見た目」にもいろいろなありかたがある。これらのシンプルな原則を理解することで,自分のバイオメカニクスが自身のスイングにどのように影響するかを,よりよく理解できるだろう。
どのバックスイング・プレーンが自分の体に合うかをテストするために,以下のテストを行なってみよう(パートナーが必要):
- 直立し,両腕を肩の高さで広げる
- 指先から指先までの距離(腕の長さ)を測ってもらう
- 身長を測ってもらう
- 腕の長さと身長が同じなら,トップの位置で左腕が肩の高さにある。これが,いわゆるワンプレーン理論として教えられているもの
- 腕の長さが身長より長ければ,トップの位置で左腕は肩の高さより上。いわゆるツープレーンと形容されるもの
- 腕の長さが身長より短ければ,トップで左腕は肩のラインより下。いわゆるフラット・バックスイングと呼ばれるもの
左腕がトップの位置で収まる範囲があることを覚えておこう。例えば腕の長さが身長より4インチ短いとしたら,左腕は肩のラインの下,胸のラインになるだろう。逆に4インチ長いと,トップで左腕は肩のラインよりだいぶ上にくる。
単純に言えば,トップでの左腕が肩のラインに対する位置は,腕の長さと身長との関係に対応する必要がある。
さて,そのトップの位置への持っていきかたは,ゴルファーによって異なる。例えば,サム・スニード,Bruce Lietzke,マット・クーチャーなどは,最初にインサイドに引いたあとにクラブを持ち上げる。あるいは,フレッド・カプルスやリー・トレビノのように,最初にアウトサイドに上げたあとにトップに収める人もいる。また,ダウンスイングの軌道をなぞるようにトップに収めるかのように見えるゴルファーもいる。これらは,バックスイングでいかに腕がたたまれるかに依る。
ヒップ・プレーンの代表格は,マット・クーチャーとジェイソン・ダフナー。トルソー・プレーンの代表は,ハンター・メイハンとロリー・マキロイ。そしてショルダー・プレーンはチャール・シュワーツェルとマーティン・カイマー。彼らは各々が優れたボールストライカーだが,それぞれが自らの体に従ったスイングの仕方をしている。
どのダウンスイング・プレーンが自分に適しているかは,どう測ったらいいだろう? そのためには,まず前腕(ナックルの真ん中から肘まで)と,上腕(肘から肩関節)との長さを測る。
この前腕と上腕との長さの関係によって,ダウンスイング・プレーンが以下のように決まってくる:
- ヒップ・プレーン(Hip-Plane Downswing):前腕が上腕より短い人
- トルソー・プレーン(Torso-Plane Downswing):前腕と上腕とが同じ長さの人
- ショルダー・プレーン(Shoulder-Plane Downswing):前腕が上腕より長い人
簡単な考え方としては,前腕が上腕より長ければ,手の位置は高く遠くになり,そしてスティープに降りてくる。もし上腕が長くて前腕が短ければ,手は低く体に近く降りてくる。それはよりシャローなプレーンになる。以下は,PGAツアープレーヤーの例:
- ヒップ・プレーン(Hip-Plane Downswing):Heath Slocum
- トルソー・プレーン(Torso-Plane Downswing):アーニー・エルス,ハンター・メイハン,アダム・スコット
- ショルダー・プレーン(Shoulder-Plane Downswing):マーティン・カイマー,カミロ・ビジェガス,ジョン・センデン
マーティン・カイマーは,適切なスイングプレーンがいかにパフォーマンスに影響を与えるかの,完璧な例だ。2010年,カイマーは人生最高のプレーをしていた。彼は全米プロゴルフ選手権を勝ち,2011年にWGCアクセンチュア・マッチプレー選手権を制したすぐのちに,世界ゴルフランキングでNo.1の座についた。その8週間後に,No.1の座はリー・ウェストウッドに取って代わられた。
ランキングの降下に際し,彼の体のメカニクスにはミスマッチだと示されたスイングに,彼が変えたことが見て取れる。彼が勝っていたとき,カイマーはショルダープレーンにクラブを下ろしていた。彼と彼のインストラクターは,もっとクラブを低く近く振るように取り組んでいて,ヒップ・プレーンを目指していた。当時,多くのインストラクターは,ヒップ・プレーンが理想だと思っていたのだ。2012年後半にはカイマーのランキングはスルスルと下降し,そこで彼はスイングを見なおした。彼のスイングを検証する中で,彼のスイングプレーンが,彼が最高のプレーをしていた2009年・2010年シーズンのものに近づいていることを発見した。そしてわれわれはまた,マーティン・カイマーの名前を再びリーダーボードで目にするようになった。
バックスイングとダウンスイングの両方で,プレーンを適切な骨盤の動きと手首のヒンジとともにマッチさせることは,ゴルファーを大いに助ける。適切な手首のヒンジとゴルファーの骨盤の動きは将来の記事で述べるとして,まずは最初に今回の内容を理解してもらいたい。個々の体のメカニクスがゴルフランキングに影響を与えるし与えられることを認識することが,あなたのゲームを新しいレベルに導くビッグピクチャーの中での,最初のステップなのだ。