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〈Strokes Gained"〉の観点から,WGCキャデラック選手権でのダスティン・ジョンソンの優勝を分析する

以下の記事と同様に,『ゴルフデータ革命』の著者マーク・ブローディが,WGCキャデラック選手権でのダスティン・ジョンソンのパフォーマンスを分析しています。

"Strokes Gained" の観点から,全米プロ選手権2014でのマキロイ優勝を分析する - Linkslover

「パット・イズ・マネー」と言われますが,優勝を逃したJ.B.ホームズは最終日のパッティングが原因だったとはいえ,上位11人の中で strokes gained putting が順位相応に良かったのはライアン・ムーアぐらいですね。Driving と Approach shot の出来が順位影響を与えているように見えます。

Strokes Gained at WGC-Cadillac

3日目を終えてトップに5打差をつけられていたダスティン・ジョンソンが,WGCキャデラック選手権を制し,PGAツアーで9度目の優勝を飾った。ジョンソンは2008年シーズン以降,毎シーズン1回ずつ優勝していることになる。

J.B.ホームズは初日を62でまわり,トップに立った。フィールドの初日の平均スコアは 73.4 だったので,ホームズはフィールドに対して11.4ストロークもゲインしたことになる。これは,1983年以降のPGAツアーではフィールドに対して4番目に大きなゲインであった。そのベストの記録は,2013年のBMW選手権2日目にジム・フューリックが記録した,12.1ストロークである。

ホームズは2日目に73で,フィールドに対して0.5ストロークのゲイン,3日目は70で1.4ストロークのゲインだった。彼の最終ラウンドの75はフィールドに対して1.4ストロークのロスト,そしてこのつまづきを横目に,ジョンソンがトップに躍り出た。

3日目,ジョンソンと J.B.ホームズはともに207ヤードの4番パー3でホールインワンを記録した。このホールの3日目の平均スコアは2.9だったので,このホールインワンでふたりは1.9ストロークをゲインしたことになる。パー3ホールでのティーショットは,(strokes gained の統計では) approach shot のカテゴリーに含まれる。このカテゴリーには,パー4とパー5ホールでのティーショットを除く,ホールから100ヤード以上のすべてのショットが含まれる。 Approach shot は,ジョンソンの勝利の鍵であった。彼は1ラウンド平均3.5ストロークのゲインで,そのうちの2.7ストロークは approach shot によるものだった。Driving(パー4とパー5ホールでのティーショット)は1ラウンドあたり0.6ストロークのゲイン,パッティングは1ラウンドあたり0.5ストロークのゲイン,short game (ホールから100ヤード以内のショット,パッティングを除く)は0.4ストロークのロストだった。

自らのゲームについて訊かれたジョンソンは,こう答えている。「自分のゴルフスイングに本当に自信が持てている。とてもよくスイングできていると感じるんだ。パターとショートゲームはもう少し練習が必要だね」。

以下の表は,ジョンソンのWGCキャデラック選手権における,ラウンドごとの strokes gained の内訳だ。

Strokes gained per round (カッコ内は順位) Rank
Dustin Johnson Total Drive Appr Short Putt out of
2015 Season 2.1 (2) 0.8 (3) 1.7 (1) -0.2 (146) -0.2 (132) 181
WGC-Cadillac Championship 3.5 (1) 0.6 (11) 2.7 (1) -0.4 (56) 0.5 (19) 73
Round 1 5.4 (3) 0.3 (36) 3.2 (5) 0.1 (41) 1.8 (11) 73
Round 2 0.5 (29) 0.6 (23) 0.7 (27) -1.3 (59) 0.5 (33) 73
Round 3 3.5 (6) 0.3 (30) 4.1 (2) -0.4 (44) -0.5 (40) 73
Round 4 4.6 (5) 1.4 (6) 2.9 (5) 0.0 (36) 0.3 (33) 73

以下の表は,WGCキャデラック選手権のおける,トップ11のプレーヤーの strokes gained の内訳。

Strokes gained per round (カッコ内は順位)
Golfer Total Drive Appr Short Putt
Dustin Johnson 3.5 (1) 0.6 (11) 2.7 (1) -0.4 (56) 0.5 (19)
J.B. Holmes 3.2 (2) 1.5 (2) 1.0 (8) 0.6 (12) 0.0 (35)
Bubba Watson 3.0 (3) 1.7 (1) 0.1 (36) 0.4 (24) 0.8 (11)
Henrik Stenson 2.2 (T4) 0.5 (13) 1.0 (9) 0.2 (35) 0.6 (16)
Adam Scott 2.2 (T4) 0.5 (14) 1.4 (4) -0.4 (57) 0.8 (13)
Louis Oosthuizen 2.0 (6) 1.2 (4) 0.0 (37) 0.7 (6) 0.0 (36)
Bill Haas 1.7 (T7) 0.0 (42) 1.0 (10) 0.5 (17) 0.2 (30)
Webb Simpson 1.7 (T7) 0.3 (30) 0.0 (39) 0.9 (4) 0.6 (17)
Rory McIlroy 1.5 (T9) 0.5 (19) -0.1 (43) 0.8 (5) 0.4 (22)
Kevin Na 1.5 (T9) -0.3 (51) 0.8 (13) 0.3 (29) 0.8 (12)
Ryan Moore 1.5 (T9) -0.5 (56) 0.9 (12) 0.1 (37) 1.0 (5)
Top 11 average 2.2 0.5 0.8 0.3 0.5
Fraction of total 100% 24% 37% 16% 23%

J.B.ホームズは最終日に1.4ストロークのロストで,これはパッティングでの2.3ストロークのロストを含む。自らの最終ラウンドについて訊かれたホームズは,こう答えている。「パットが決められなかった。いいパットをいっぱい打った。カップの真ん中から決まると思ったパットが山ほどあったが,最後に切れていった」。

以下は,WGCキャデラック選手権最終日における,トップ11のプレーヤーの strokes gained の内訳。

Strokes gained final round (カッコ内は順位)
Player Total Drive Appr Short Putt
Dustin Johnson 4.6 (5) 1.4 (6) 2.9 (5) 0.0 (36) 0.3 (33)
J.B. Holmes -1.4 (52) 1.7 (2) -1.2 (53) 0.4 (22) -2.3 (69)
Bubba Watson 2.6 (10) 1.2 (7) 2.4 (10) -1.7 (69) 0.7 (25)
Henrik Stenson 1.6 (14) 1.2 (10) -0.9 (49) 1.5 (7) -0.2 (42)
Adam Scott 2.6 (9) -1.0 (63) 3.0 (4) 0.0 (39) 0.6 (27)
Louis Oosthuizen 0.6 (41) 0.8 (19) 0.9 (24) -0.2 (49) -0.9 (52)
Bill Haas -0.4 (49) 0.4 (27) 1.5 (17) -0.2 (46) -2.1 (67)
Webb Simpson 0.6 (31) 0.6 (23) -1.5 (58) 0.3 (24) 1.1 (18)
Rory McIlroy 1.6 (26) 0.0 (40) -0.1 (38) 1.1 (12) 0.6 (28)
Kevin Na 2.6 (13) -0.5 (52) 4.6 (1) -1.0 (61) -0.5 (45)
Ryan Moore -2.4 (60) -2.2 (70) 1.6 (14) -1.0 (60) -0.8 (51)

他の大会の strokes gained 分析は,http://everyshotcounts.com/ を参照のこと。